横綱白鵬「33度目のV」“しなやか最強”の秘密 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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横綱白鵬「33度目のV」“しなやか最強”の秘密

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33度目の優勝を決めた稀勢の里との対戦 (c)朝日新聞社 

33度目の優勝を決めた稀勢の里との対戦 (c)朝日新聞社 

 張り手で稀勢の里のバランスを崩すと、ぐっとまわしをつかみ、強烈な押し倒し──。横綱の白鵬(29)が23日、史上最多33度目の優勝を決め、“昭和の大横綱”大鵬の記録を塗り替えた。

 大関時代から2ケタの勝利を出し続けた。「組んでよし」「離れてよし」の相撲が持ち味の白鵬。強さの秘密はどこにあるのか。

 白鵬は昨年12月、朝日新聞のインタビューに自分の身体をこう表現した。

「足腰は大関、上半身は前頭、合わせて横綱です。全てがかみ合わないと横綱にはなれません」

 それは柔軟な上半身と剛健な下半身を指す。マシュマロのような感触の二の腕は、力をこめるとガチッとした筋肉に化ける。それが、単なる力のぶつかり合いではなく、バランスの崩し合いである競技で威力を発揮する。

 相撲取材を続けて27年目のテレビリポーター・横野レイコさんは、白鵬を十両時代から見てきた。

「戦った力士は口を揃えて『土俵際まで押してもスライムのように力が吸収されてしまう』と嘆く。だから土俵の外に押し出されることが少ないんです」

 恵まれた身体の資質はモンゴル相撲の大横綱だった父親から受け継いだ。そこに自身の緻密な分析力が加わる。横野さんが言う。

「負けた映像を何度も見直し、徹底的に敗因を分析する。負かされた力士の元へ出稽古に行き、シミュレーションするなど中身の濃い稽古を続けている」

 相撲ジャーナリストの中澤潔さんが感心するのはケガに強いこと。大関だった2006年の九州場所を最後に休場はなく、横綱として連続出場記録を更新中。

「柔軟で無理なく相撲をとれるから。日馬富士は満身創痍で、同じモンゴル出身の過去の横綱と比較しても抜群の安定感です」

 一方で、大鵬の優勝回数とは一概に比較できないと厳しい目線を投げかける。

 大鵬は柏戸や栃ノ海ら多彩なライバルと競い、苦しんで記録を生んだ。だが白鵬は朝青龍が辞めた10年以降、競り合う相手がほとんどいないと見る。

 白鵬はこの3月11日で30歳になる。大鵬30歳、千代の富士35歳で引退したが、多くの横綱は30歳手前で引退する。「東京五輪まで頑張る」と宣言した白鵬の勢いは、いつまで続くのか。

 白鵬はいま土俵稽古はほとんどせず、代わりに体幹を鍛える四股、すり足、立ち合いを確認する鉄砲や柔軟運動など基本の動きで鍛錬を続けているという。先のインタビューでも、こんな心情を吐露した。

 白鵬という横綱は、これから強くはならない。あとは、肉体、精神をどれだけ維持するかです──。

 前人未到の記録を塗り替えた横綱。さらに新たな高みを目指してほしい。

(本誌・上田耕司、永井貴子、牧野めぐみ)

週刊朝日 2015年2月6日号


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