オウム・サリン事件から20年でも解けない高橋被告の“洗脳”

週刊朝日
 20年前のオウム真理教による地下鉄サリン事件など五つの事件で殺人罪などに問われた元信者、高橋克也被告(56)の初公判が1月16日、東京地裁で行われた。高橋被告は、五つの事件の殺人や殺人未遂など根幹については無罪を主張。地下鉄サリン事件については、「サリンであることは知らなかった。殺害の共謀はありません」と述べ、争う姿勢を見せた。

 法廷に姿を見せた高橋被告は黒のスーツに青のネクタイ姿。2012年6月の逮捕時と比較するとげっそりとやせ、髪も薄くなっていた。

 地下鉄サリン事件に運転手役としてかかわり、殺人罪などで起訴された高橋被告は検察側の冒頭陳述で「地下鉄サリン事件という無差別テロに参加」などと厳しく指摘された。

 その反論を猛然としたのが、高橋被告の担当弁護士。

「人は必ず死にます。われわれは死ぬんです」

 と意表を突く訴えを展開。びっくりしたような表情をする裁判員におかまいなく、無罪主張をまくし立てた。高橋被告には殺意はなく、犯行計画も知らされていない、オウム幹部でもないと、訴えかけた。ペーパーを見ることなく、約2時間の「独演会」だった。

 この弁護士は、埼玉保険金殺人事件の八木茂死刑囚など数々の刑事事件を手掛けてきた人物。裁判員裁判でも覚醒剤密輸事件などこれまで3度も無罪を勝ち取っている。

「刑事裁判とりわけ裁判員裁判では、右に出るものがいないほどの腕前。弁護士会でも法廷技術を磨く先生役として有名」(東京弁護士会の弁護士)

 法廷の戦略、尋問のスキルを向上させる「東京法廷技術アカデミー」を設立、代表理事もつとめている実力者だ。

 傍聴した地下鉄サリン事件の遺族、高橋シズヱさんはこう話す。

「弁護士がオウムの教義の話をすると高橋被告は目が輝いていた。教義から離れていないのではないか」

 約40回の公判が予定される高橋被告の裁判。敏腕弁護士がどう闘うのか。判決は春ごろの予定だ。

(本誌取材班=上田耕司、小泉耕平、福田雄一、古田真梨子、牧野めぐみ/今西憲之)

週刊朝日 2015年1月30日号

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