いまや当たり前のように多くの人が持つスマートフォン。堀江貴文氏は、メディアを例にこの数年で大きな変革が起きると予測する。

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 今回はスマートフォン時代について書きたいと思う。

 いまさらではあるが、本格的なスマートフォンの普及が日本でも爆発的に進んでいる。インターネットに接続する時間はスマートフォンでの利用が過半数を超えていると見られている。これがガラケー時代と大きく違うことだ。

 ガラケー時代はパソコンと比較すると、操作性や画面の大きさの部分で劣っていたが、スマートフォンになってパソコン以上のパフォーマンスを出せることになった。インターネットへの接続性は今やパソコンを上回っているといえるだろう。何の余計な操作も必要なく意識をせずにネット接続できるからだ。

 またスマートフォンに備え付けられているネイティブアプリのクオリティーが非常に高いので、ストレスなくメディアに接することができる。そのためにスマートフォン経由でメディアに接する人が劇的に増えたのだ。したがってニュースサイトや動画サイトへのアクセスの仕方も大きく変化した。

 例えばこれまでガラケーでニュースを読んでいた人たちは短いヘッドラインに要約記事を読むのが中心で、大抵は新聞社などのサイトに会員登録をして読んでいる人が多かった。だが、スマートフォン時代はもっと長文の記事をニュースソースにかかわらず、ニュースキュレーションアプリ経由で読むようになりつつある。パソコンでウェブを見ていた時代はヤフートピックスがその役割を担っていた。また、グーグルで検索をして記事にたどり着いたりしていた。今ではそのルートが全く変わってしまっただけではなく、読まれ方も広告のクリックの仕方まで変わってしまったのである。ガラケー時代は有料会員モデルが機能していたのだが、スマホではそれが崩壊した。アイフォーンがその先鞭をつけたのである。

 パソコンでウェブを見ていた人たちは、割と大きめのバナー広告をクリックする人が比較的多かったが、スマートフォンではそうはいかない。むしろ読者が広告を鬱陶しく感じてしまいサイトのイメージを下げてしまう。したがってネイティブ広告と呼ばれる、まあ以前からある記事広告をもっと読ませる、おもしろくしたものが収益の柱になりつつあるのだ。

 フェイスブックの「いいね!」が普通の記事よりネイティブ広告のほうについてしまうことすらありうるようになってきている。しっかりした記事を書きながら、ネイティブ広告の専門家が広告部門と連携して広告とは到底思えないような優れた広告を作るようになりつつある。

 今後は既存のメディアに就職していった優秀な人材がモバイルメディアに転職することで、まるで映画製作者がテレビマンに大挙して転職していった時代と同じような現象が起こるだろう。紙からウェブへ、テレビからネット動画への人材シフトが起こってくるだろう。

 そしてその覇権争いは、数年の間に決着がついてしまうのではないか。注視が必要だろう。

週刊朝日  2015年1月23日号