USJ (c)朝日新聞社 @@写禁
USJ (c)朝日新聞社 @@写禁

 今、日本の災害対策が根本から見直されようとしている。全国各地を直撃する巨大地震の発生リスクが昨年末、大幅に引き上げられたのである。

 今回、発表された改訂版の地図では、今後30年以内に震度6弱以上の地震に襲われる確率が、各地で大きく上がった。例えば、2013年版では74.4%だった東京スカイツリー周辺は81.1%に、70.2%だった横浜中華街は81.6%と急上昇し、極めて高い確率で大地震に見舞われると指摘された。

 なぜ、このような大幅改訂が行われたのか。政府の中央防災会議で南海トラフ巨大地震の被害想定をまとめた関西大学社会安全学部の河田恵昭教授が解説する。

「大きな理由の一つは、フィリピン海プレートのもぐり込みが、従来考えられていたよりも10キロ浅かったと判明したこと。想定される震源の位置が浅くなったことで、多くの場所で確率が上がったんです」

 30年以内に震度6弱以上の大地震が起きる確率が26%以上の地域は、本州の太平洋側に集中している。

 各地のランドマークがある地点の確率を見ても、東京ディズニーリゾート(82.3%)や、浜岡原子力発電所(72%)、伊勢神宮(60.8%)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、48.8%)など、特に沿岸部で極端に高い確率になる傾向があった。

 地震学者によれば、地盤のゆるい埋め立て地は高い震度が想定されるうえ、直下型地震より発生源や発生時期を特定しやすいプレート型の地震のほうがより強く確率に反映されるため、こうした結果になったようだ。今回の改訂にかかわった東京大学地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授は警鐘を鳴らす。

「基本的には日本全国どこでも直下型もプレート型も起こりうるという想定で計算しているが、過去の地震などから震源がわかっている地点で数値が高くなっている。ただ、直下型については発生源の活断層を調査しきれておらず、プレート型にしても、東日本大震災のように想定外の大地震が起こり得る。日本はどこでも大地震が起きるリスクがあり、確率が低いからと安心しないでください」

(本誌・福田雄一、小泉耕平、山岡三恵、上田耕司)

週刊朝日  2015年1月23日号より抜粋