年も明け、きりのいい1月からつけ始めたい家計簿。ただし、継続させることは困難とうのが正直なところ。

 家計簿に詳しいファイナンシャルプランナーの大木美子さんは、その家なりのお金の使い方があるのだから、赤字にならずに必要な貯蓄ができれば十分合格と訴える。

「家計簿をつける最大の目的は、いくら使っているかを知ること。収入以上に使ってボーナスで帳尻を合わせていることに気づかないようでは貯蓄できない。細かくきっちりつけ通すか、さもなくばつけないかの二者択一の考え方は捨てましょう」

 そこで大木さんに「極めて簡単な家計簿のつけ方」を教えてもらった。「食費」「日用品費」「その他」の項目を書き込める紙を冷蔵庫などに貼り、逐次メモしていく。紙は1週間単位で更新、週ごとに出費をチェックする。これだけで十分に支出の無駄を発見でき、抑制効果もあるという。

 このスタイルの家計簿に13年秋から1年間、全国の24人が挑戦し、その細かな記録は朝日新聞生活面の年間企画「家計ボーエイ隊」で報じられた。挑戦者の3割は家計簿をつけたことがあるが続いていない人だった。担当記者が言う。

「3カ月ほどで各家庭の弱点が見えてくるんです。たとえば食費が多いとか、夫婦が定年直後で旅行費が数十万円とか。それを専門家に評価してもらい、予算を組み立てる。分析すれば節約するポイントがわかり、家計改善につながるケースが多かったです」

 もっと簡単なやり方もある。8歳からお小遣い帳をつけている税理士の天野伴さんは、さらに手軽な“一行家計簿”を提唱する。

「自分が何に無駄遣いしているのかは、だいたい想像がつくでしょう。お酒を飲みすぎているなら『アルコール代』、コンビニで無駄な買い物をしがちなら『コンビニ代』、ダイエットを兼ねて甘いものを減らしたいなら『お菓子・ジュース代』など具体的な項目だけに絞って、その出費のつど一日、一行だけ記録してください」

 貯蓄を増やしたい人は積立預金などを使って天引きで強制的に貯蓄し、残った金で暮らす。この二つを並行させると、記録する費目の出費が減り、給料日前に金が余ることもあるとか。

「一行家計簿で無駄が減らせたら、浮いた分で自分にご褒美を与えるのがコツです。私は以前コンビニ代を一行家計簿につけ、節約分でホテルにランチを食べに行きました。貯蓄のための節約は苦しくても、ご褒美は楽しい」

週刊朝日 2015年1月16日号