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再エネ抑制策に自民議員も疑問

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週刊朝日#原発

建設中の大間原発 (c)朝日新聞社 

建設中の大間原発 (c)朝日新聞社 

 安倍自民党が衆院選で大勝し、2015年は原発回帰の流れが止まりそうにない。

 原発政策のあり方について、同24日に経済産業省の原子力小委員会がまとめた中間整理では、原発の新設や建て替えには触れなかったが、原発や核燃料サイクルの維持に国の関与を強める方針は盛り込まれた。元経産官僚の古賀茂明氏がこう解説する。

「昨春に閣議決定された『エネルギー基本計画』で、原発は『重要なベースロード電源』と書かれた。これは将来も原発を維持するということ。老朽原発を廃炉にすればやがて『原発ゼロ』になってしまうため、安倍首相はその時点で新設を認めると決めていたはず。そもそも日本の安全保障上、核武装のカードを残すためにプルトニウムを保持するというのが自民党タカ派の考え方で、核燃料サイクルの継続は既定路線です」

 原発推進が加速するのと対照的に、再生可能エネルギー(再エネ)普及のためにつくられた固定価格買い取り制度(FIT)には、ブレーキをかけるような動きが出てきている。

 北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の電力5社が再エネの新規受け入れを中断している問題について、経産省は12月18日に対策を発表した。

 その中身は、これまで電力会社が無補償で太陽光の発電事業者に出力抑制を指示できる上限だった「年間30日まで」という条件を撤廃し、無制限にするというもの。さらに、事業用のみだった抑制対象が、出力500キロワット未満の家庭用にまで広げられる。

 自民党が14年11月に立ち上げた「再生可能エネルギー普及拡大委員会」の事務局長を務める秋本真利衆議院議員がこう語る。

「ドイツなどでは出力抑制した場合、電力会社側が発電事業者に補償している。無制限、無補償で出力抑制を認めるのは、電力会社の側に立ちすぎです。これでは発電業者の事業計画が不安定になって参入意欲を削ぐし、銀行も融資しづらくなる。自民党は公約で『再エネを最大限導入する』とうたっているのに、国民にやる気がないと誤解を与えてしまう」

 秋本氏は、各電力会社が不当に出力抑制を乱発しないよう監視する第三者機関が存在しないことも問題だと指摘する。

 そもそも、実際に無制限の出力抑制が必要かどうかも不透明だ。経産省の作業部会では、各電力会社が発表した太陽光発電の受け入れ可能量に基づいて検討が行われ、北海道電力、東北電力、九州電力では認定された設備容量の半分程度しか受け入れられないとされた。だが、自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は疑問を呈する。

「作業部会の算定では、老朽化して廃炉が検討されている原発まで稼働する前提で計算しており、『無制限の出力抑制』という方針が決まった直後、それらの原発は廃炉の表明が検討されていると報じられた。原発が過大に見積もられた分、再エネの導入可能量が実際より低くなっています」

(桐島 瞬/本誌・小泉耕平、上田耕司)

週刊朝日 2015年1月16日号より抜粋


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