プライベートでも仲の良い村上氏(右)と羽生氏(左) (c)朝日新聞社 @@写禁
プライベートでも仲の良い村上氏(右)と羽生氏(左) (c)朝日新聞社 @@写禁

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで連覇を果たした羽生結弦選手(20)が12月26日開幕の全日本選手権(長野)で2014年を締めくくる。そんな世界が認める“王者”に対抗できる一番手として注目されているのが、村上大介選手(23)=陽進堂=だ。

 11月末のNHK杯では、羽生選手が故障を抱えていたとはいえ、5度目のGP大会で初優勝を飾った。ショートとフリーで高難度の4回転サルコーを計3回全て成功させ、自己ベストを約40点更新。「2日間ノーミスだったことは嬉しい。優勝は大きな自信になります。(羽生選手に)少しずつ追いついてきた」と喜びを語った。

 解説者の佐野稔氏はこう評価する。

「サルコーはジュニア時代からうまかったけど、世界トップレベルにまで磨き上げた。優勝がかかるフリーで最高の演技ができたように精神面も強い。GPファイナルでの羽生選手の優勝は、村上選手が火をつけたところもある。今回の全日本、来シーズンと好勝負を演じていくでしょう」

 村上選手は神奈川県生まれ。9歳のときに家族で米国に引っ越し、フィギュアにのめりこんだ。ジュニア時代は米国代表として国際大会に出場。07年から日本に所属を変更した。ただし拠点は今もロサンゼルスで、五輪王者のライサチェク(米国)を育てたフランク・キャロル・コーチの指導を受けている。

 12年に同じNHK杯で右肩を脱臼して棄権したが、手術と驚異的なリハビリで見事に復活を遂げた。村上選手に羽生選手を超えるための秘策を聞いた。

「自分の武器は(基礎点の高い)4回転サルコー。トーループも跳べるのですが、今季はサルコーに絞ったおかげで着氷率がグンと上がりました。ジャンプは安定しています。全日本では再び表彰台を狙いたい。年下ですが学ぶところも多い羽生選手は、試合を離れれば笑顔が可愛い素敵な人で、ボクも彼のファンです」

 闘志を内に秘める“遅れてきた新星”。全日本そして15年と、輝きを増すことができるのか。

(本誌取材班)

週刊朝日  2015年1月2-9日号