教育資金一括贈与の非課税制度について説明するセミナー。参加者の大半はシニア世代=2014年7月29日、東京都大田区  (c)朝日新聞社 @@写禁
教育資金一括贈与の非課税制度について説明するセミナー。参加者の大半はシニア世代=2014年7月29日、東京都大田区  (c)朝日新聞社 @@写禁

 かわいい孫のためならどんな援助もしてあげたい――そう思っている祖父母も少なくないはずだが、その「援助」が相続税対策にもなるとすれば、使わない手はない。「生前贈与」の非課税枠を使って、孫の笑顔を見ながらも、大きな節税効果を生む方法を紹介する。

 孫(や子供)に教育資金を贈った場合、1人あたりにつき1500万円までは贈与税がかからない「教育資金一括贈与非課税措置」(2015年12月31日までの時限措置)を、ぜひ活用したい。

「今までも、教育費と生活費は、祖父母が孫に『使う分だけ、そのつど贈与した場合』は非課税でした。ただ、そのつど贈与していくのは煩雑です。一方、教育資金一括贈与は、教育資金に限定されますが、1500万円もの額を一度に贈与できてしまうのです」(日本中央会計事務所の代表で税理士の青木寿幸さん)

 万が一、孫が大学を卒業するまでに祖父母が亡くなってもお金を残すことができるのは、暦年贈与にはないメリットだ。

「また、これは孫の親が教育資金として管理して引き出すため、直接孫にお金を贈与すると何に使うか不安だという祖父母にとっても安心感があります」(同)

 ここで言う「教育資金」とは次のようなものだ。

[1]小・中学校、高校、大学、特別支援学校、専修学校などの入学金と授業料、海外留学の際の入学金など
[2]学用品購入費、修学旅行費、学校給食費など教育に伴って必要な費用
[3]「学校以外」の学習塾、家庭教師、そろばん塾、ピアノ教室など習い事の費用、スイミングスクールなどのスポーツ指導の費用など

 1500万円の非課税枠は[1]~[3]を合わせた合計で、そのうち[3]の「学校以外」に使える費用は500万円までという制限がある。「どこまでが教育資金なのか」などの詳細は、文部科学省が公表している「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」という資料に記載されている。

 孫のためとあれば援助を惜しまないという祖父母のニーズと相続税対策にもなるというメリットの相乗効果で、利用者はうなぎ登りに増えている。信託協会の発表によると、「教育資金贈与信託」の9月末の契約件数は約8万9千件、金額は約6千億円と、6月末からそれぞれ1万2千件、850億円増えている。

週刊朝日 2014年12月26日号より抜粋