皮革の特性を知り尽くした加工と縫製の技術が結晶した手袋ペッカリーは水汚れに強く、硬くなりにくい皮革なので丈夫で長持ち。ライニング(裏地)にもこだわっていて、カシミヤや兎の毛皮は暖かく、極上の肌触り(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
皮革の特性を知り尽くした加工と縫製の技術が結晶した手袋
ペッカリーは水汚れに強く、硬くなりにくい皮革なので丈夫で長持ち。ライニング(裏地)にもこだわっていて、カシミヤや兎の毛皮は暖かく、極上の肌触り(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
兎の毛皮とカシミヤの裏地(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
兎の毛皮とカシミヤの裏地(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
動きを妨げない指の間のマチ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
動きを妨げない指の間のマチ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)

 週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。

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 今回は、デンツの革の手袋を紹介する。

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■手袋の暖かさとフィット感、両立するのか

 使い込んでみないと、本当の良さが見極められないものがある。その一つが革の手袋。暖かさ重視だと、革が厚くなるため指の動きが今ひとつ。指先を使う作業のたびに手袋を脱ぐはめになって面倒だ。かといって、フィット感第一で選ぶと防寒面で満足できなかったりする。また、皮革の特性上、手になじむのに時間が必要だから、試着だけでは判断がつきにくいのも難点。

 暖かさとフィット感を兼ね備え、「選んで良かった!」と毎年ほくそ笑むのが、18世紀に英国で創業した老舗、デンツの手袋だ。私たち夫婦は南米の野生の猪豚の皮革、ペッカリーを愛用。厚みがあるのに柔らかで、見事なカッティングと革の個性に合わせて削り整えるシェービング、指の動きを自在にする手縫いが相まって、バッグのファスナーの開閉など細かい作業も楽々。エレガントさを求めるなら、肌に吸い付くように滑らかなヘアシープ(砂漠地帯に生息する羊の皮革)もおすすめ。

<今日の逸品>
レディース
ペッカリー(コルク/ターコイズ) 5万4000円
ヘアシープ(コニャック/ブラウン) 2万5000円
メンズ
ペッカリー(ダークブラウン ライニングなし) 4万9000円(すべて税別)

問い合わせ先:リーミルズ エージェンシー
※デンツの手袋を購入する

週刊朝日 2014年12月26日号