働き盛りを苦しめる若年性認知症 7割が「収入減った」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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働き盛りを苦しめる若年性認知症 7割が「収入減った」

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週刊朝日#病気

社会脳からみた認知症

伊古田俊夫著

978-4062578899

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 認知症というと加齢とともになるイメージが強いが、 “働き盛り”に認知症になることも珍しくない。65歳未満で発症する場合は「若年性認知症」と呼び、厚生労働省の若年性認知症の実態等に関する調査(2006~08年度)によると、患者数は全国で約4万人。認知症全体の1%弱に該当する。

 原因疾患は脳血管性認知症(39.8%)が最も多く、次いでアルツハイマー病(25.4%)、頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)の順。

 若年性認知症について、順天堂大学医学部精神医学教室医局長の柴田展人医師はこう話す。

「実際の患者数は4万人より多いかもしれません。原因疾患により経過はさまざまですが、頭部外傷などでは高機能の障害があるものの認知機能は低下しません。しかしアルツハイマー病のような神経変性疾患では、認知機能も早く低下します」

 若年性認知症になると、最も大きいのは経済的打撃だ。厚労省の調査でも、若年性認知症発症後に家族の7割が「収入が減った」と回答した。

 発症したら仕事は続けられないものなのか?

「会社の規模や体力にもよる」と柴田医師は言う。

「見かけが元気なのでサボっているようにも見えやすく、厳しく判断する会社もあるようです」

 柴田医師はいくつかの大手企業の産業医をしており、前頭側頭型認知症にかかった50代前半の社員をサポートした経験がある。

「私から人事と健康対策室に伝え、家族にも理解してもらい、仕事の“量と質”を変えてもらいました。2年で退職しましたが、会社は給与を下げず、傷病手当も満額(1年半)出ました」

 専門家が方向性を見極めることは重要だ。

『社会脳からみた認知症』(講談社ブルーバックス)を先月上梓した勤医協中央病院名誉院長の伊古田俊夫医師も、札幌市で認知症の会社員に「勤務可能」の診断を下し、社員は定年まで勤め上げた。

「周囲が理解を示し、努力した例なのですが、本人がミスを認めなかったり、周囲が気を使ってダブルチェックしたりすると反発してしまうことが続き、管理者が相談に来たことがありました。作業能力の低下と別に、社会脳(他人と協調する社会的な能力)の低下が認知症の特徴なので、雇用側がそれをよく理解しないと、人間関係も支援も壊れてしまうのです」

 だが中には、継続しないほうがいいケースもある、と伊古田医師は続ける。

「常に時間に追われたり、人前に出て行動を見られたりするストレスの強い仕事だと、鬱などの周辺症状がひどくなることもあります。そういう場合は、無理をしないほうがいいでしょう」

週刊朝日  2014年12月19日号より抜粋


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