相続税対象者が激増 自宅を売らない方法とは 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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相続税対象者が激増 自宅を売らない方法とは

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路線価の高い住宅街では狭い土地でも相続税がかかる (c)朝日新聞社 

路線価の高い住宅街では狭い土地でも相続税がかかる (c)朝日新聞社 

 2015年1月1日以降、相続税の非課税枠が大幅に縮小されることで、相続税を負担する人が都市部を中心に増大する。税理士法人レガシィの調べでは、路線価が12万5千~30万円の地域で、新たに相続税が発生する。税理士法人レガシィ代表の天野隆さんが言う。

「改正前は相続税がかからなかったのに、改正後はかかる地域を首都圏で見ますと、北はJR大宮駅の少し先、東は京葉線の蘇我駅、南は横須賀線横須賀駅、西は東海道線小田原駅の周辺まで拡大します」

 東京国税局管内(東京、神奈川、千葉、山梨)の2014年の相続税申告対象者は4万8272人(推計)だった。だが、来年は10万2920人に跳ね上がる見込みだという。

「相続税の対象は全国ベースで増えます。特に大都市圏での影響が大きくなります」(天野さん)

 基礎控除の縮小により、首都圏はほぼ2人に1人、大阪、名古屋、福岡などの都市部でも大幅に増えるという。相続税を払うための現金が用意できないとき、自宅を売却するとなると、生活基盤が失われてしまう。

 財産を受け継いだ親族の負担をなくすため、自宅を売却せずに節税できる方法がいくつかある。その一つが「小規模宅地等の特例」だ。

「小規模宅地等の特例」とは、自宅の土地を配偶者や子どもが相続する際、その評価額を8割減らせる仕組み。来年1月1日から適用条件が緩和され、宅地の対象面積が240平方メートル(約72坪)以下から330平方メートル(約100坪)以下に変更になる。

 例えば、330平方メートル以内の土地の評価額が6千万円だったとすると、その8割、4800万円が非課税になり、1200万円が課税対象になる。法定相続人が1人でも、3600万円の非課税枠に収まるので税金がかからない、というわけだ。

「土地を手放さなくても済むように配慮した制度です。よほど広い宅地でなければ、相続税はかかりません。ただ、路線価の高い地域に住む人、郊外や地方では広い敷地を持つ人は注意が必要。心当たりのある人は、親が所有している土地を知っておき、事前に相続税を計算しておくと、いざというとき安心です」

 こうアドバイスするのは、『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著書がある税理士法人タックス・アイズ代表の五十嵐明彦さん。

「小規模宅地等の特例」を受けるには、税務署への申告が必要で、細かい適用条件がある。配偶者が相続する場合には、無条件で適用される。子どもが受け継ぐときは、「親と同居していた」「自分(子ども)に持ち家がない」といった制約がある。

「持ち家がある子どもが、自分の家を売却して親と同居しようと思うかもしれませんが、『過去3年間持ち家に住んだことがない人』が条件になります」(五十嵐さん)

 また、緩和された条件の一つに、「二世帯住宅」に住むケースがある。ただし、「二世帯住宅」は特例が使えるケースと、使えないケースがある。

 二世帯住宅は、内部でつながっているものと、つながっていないものがあり、これまでは内部でつながっているものしか特例が認められなかった。しかし税制改正で、今年からつながっていないものも認められ、特例の対象になった。また、1階は両親、2階は子ども夫婦が住んでおり、外階段でしか1階と2階が行き来できない構造も、特例の対象にならなかったが、このケースも同居の扱いになる。

 一方、同じ敷地内に、親が住む家と、子どもの世帯が住む家がそれぞれ独立している別棟のケースは、「特例」の対象にはならないから注意したい。

 注意点はまだある。親と子どもがそれぞれお金を出し合って二世帯住宅を建てた場合、親と子どもの共同名義で登記していれば、土地のすべてについて特例を受けることができる。しかし、建物の1階を親、2階を子どもというように、別々に登記していたら、割合に応じた敷地分しか8割減の対象にならない。

週刊朝日  2014年12月12日号より抜粋


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