脚本は中谷まゆみ、プロデューサーは中野利幸。篠原涼子演じるアラフォー女性と、三浦春馬演じる20代のイケメン青年の恋愛を描いた『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系)のチームが制作している。

『ラスト・シンデレラ』は、アラフォー女性の欲望を狙い撃ちにした、ちょっとエッチなラブコメディ。

 三浦春馬が鍛え抜かれた裸体を披露するサービスショットの破壊力には圧倒されたが、正直、あまり面白いと思えなかった。そのため『ディア・シスター』も初めはナメて見ていたのだが、回を重ねるごとに、これは一筋縄ではいかない話だ、と思うようになってきた。

 第4話。仕事をやめて家でダラダラしている葉月に対して、美咲が「雑誌は美容院でまとめ読みするのが常識」「トイレの電気のワット数を落としたほうがいい」と、生活費を節約する方法を薦める場面がある。真面目な葉月とだらしない美咲という対比が徐々に逆転していくのだ。

 また、美咲はシングルマザーとして宗一郎の子どもを一人で育てようとしていたが、物語が進むにつれて、全身性エリテマトーデスという全身の臓器に原因不明の炎症が起こる難病を抱えていることがわかってくる。この病気は妊娠によって症状が悪化し、場合によっては死に至ることもある。作中には、美咲が映画『死ぬまでにしたい10のこと』の真似をして、死ぬまでにしたいことをノートに書く場面が毎回登場する。だが、そこに書かれているのは「お姉ちゃんのために~をしてあげる」という、葉月に関わることばかり。

 内館牧子が執筆した『想い出にかわるまで』(TBS系)のような姉と妹の愛憎劇かと思いきや、妹が不器用な姉を守ろうとしていたことが明らかになっていくのだ。 

 本当は健気な美咲が、今後どうなるのか、とても気になるところだ。

 しかし、美咲の設定が魅力的に作りこまれていればいるほど、姉の葉月を演じた松下奈緒は割を食ってしまったなぁと思ってしまう。「怒られるのはいつも姉だ」と、葉月は文句を言っていたが、やっぱり、姉の方が損な役回りなのかもしれない。

週刊朝日  2014年12月12日号