「どうして解散するんですか?」

 小学4年生を名乗る男児が衆議院解散への疑問を投げかけるウェブサイトが11月20日に登場し、たちまち大炎上した。

 民主党のマスコットを自称するツイッターアカウント「民主くん」が同22日、「天才少年現る! とてもいい。皆さんもぜひ!」とこのウェブサイトを紹介。民主党が黒幕では――。こんな臆測がネットで飛び交い、さらに波紋を広げた。

 ところが、小学4年生が作ったにしては高度すぎるウェブサイトだったため、ネットで犯人捜しが始まり、NPO団体「僕らの一歩が日本を変える。」代表で慶応大学法学部2年のA氏(20)のなりすましだったことも暴かれた。A氏は22日、ウェブサイトで「全て私一人で行った」と謝罪文を掲載した。

 その後、安倍首相までもが参戦。24日には「民主党が小学4年生のふりしてアベノミクス解散に疑義を唱えるステマサイト開設か!? ネット炎上」という記事を紹介していた「保守速報」のサイトを首相のフェイスブックがシェアして紹介。しかし、保守速報は過激なヘイトスピーチ的言動を掲載することで知られるサイトであったことから、ネット上で非難が殺到した。

 これを受けて首相側は2時間足らずでサイトへのリンク記事を削除した後、あらためてフェイスブック上でA氏をこう批判した。

「批判されにくい子供になりすます最も卑劣な行為だと思います。選挙目当ての組織的な印象操作ではないでしょうが、選挙は政策を競い合いたいと思います」

 ところが、今度は首相のコメントに対し、「一国の首相がそこまで批判することか」など疑問視する声が上がり、ほどなくコメントを削除。26日には「大学生も『そのアイディアやエネルギーを強くて明るい将来に向けてほしい』」とA氏を激励するメッセージを出した。

 ジャーナリストの津田大介氏は安倍首相の対応についてこう話す。

「A氏は偽らず、若者として発信すべきだった。でも、安倍首相が不適切な情報源を使って彼を批判したのはやり過ぎですよ」

 民主党広報はこの騒動について「まったく関わりがない」と回答。民主くんについても「オフィシャルアカウントではない」と否定した。

 安倍首相の事務所にも見解を聞いたが、期日までに回答はなかった。

週刊朝日 2014年12月12日号より抜粋