米倉涼子ドラマ 視聴率戦「独走」の理由 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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米倉涼子ドラマ 視聴率戦「独走」の理由

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 ドラマ評論家の成馬零一氏は、米倉涼子主演の『ドクターX~外科医・大門未知子~』が今や『相棒』に匹敵する人気ドラマになっていることを指摘。その理由は?

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 テレビ朝日系で木曜夜9時から放送中の『ドクターX~外科医・大門未知子~』の視聴率が独走状態に入った。

 本作は米倉涼子演じる天才外科医・大門未知子が、医学界という象牙の塔に、手術の腕一本で立ち向かっていく痛快医療ドラマだ。2012年に第1シーズンが放送されて以降、1年ごとに新シリーズが作られており、今回が3作目。

 第1シーズンの第1話は平均視聴率18.6%(関東地区)を記録し、シリーズを重ねるごとに視聴率を伸ばした。今回も第1話が21.3%(同)、以降も20%台を維持し、第6話では23.6%(同)を記録した。今や『相棒』と並ぶテレビ朝日の看板ドラマと言っても過言ではない。

 大門は組織に縛られないフリーランスの外科医。おネエ口調で喋る神原晶(岸部一徳)が経営する名医紹介所から派遣されて、日本で最大の医療機関・国立高度医療センターにやってきた。教授の回診に同行する大名行列、論文の代筆、夜の接待など、外科医じゃなくてもできる仕事に対しては全て「いたしません」と断り、仕事が終われば定時で退社。

「私、失敗しないので」と、どんな無理な手術でも引き受けて、無事に成功させる大門の姿は見ていて実に痛快である。

 このあたり、第1シーズンで全話執筆した脚本家の中園ミホの影響が大きい。おそらく本作は、かつて中園が執筆した、篠原涼子演じる無数の資格免許を持った謎の派遣社員が会社の無理難題を次々と解決する『ハケンの品格』(日本テレビ系)を、医者の世界に置き換えたドラマなのだろう。

 そんな、中園が描く最強ヒロインと米倉涼子の相性は実にいい。モデル出身の米倉は、連ドラデビュー以降、女優としては恋愛ドラマの3番手、4番手のあたりをウロウロしていたが、テレビ朝日系の『黒革の手帖』を転機として主演女優として頭角を現すようになっていく。

 それ以降は、『交渉人~THE NEGOTIATOR~』や『ナサケの女~国税局査察官~』などで、強くてセクシーな戦う女というイメージを確立し、この『ドクターX』で“米倉涼子ドラマ”というジャンルを完成させたと言える。

 一方で面白いのは、大門の前に敵として立ちはだかるオヤジたちの姿。伊東四朗、中尾彬、西田敏行、遠藤憲一、古谷一行といった豪華俳優陣が揃っており、その顔ぶれを見るだけでも、画面の濃さに圧倒される。他のドラマでは渋い大人を演じている遠藤憲一が、小僧に見えるくらい、ベテラン俳優たちの存在感は圧倒的。特に今回は北大路欣也が国立高度医療センターの頂点に立つ天堂義人として、圧倒的な存在感を見せている。

 完璧な大門に対し、人間的な弱さが悪役の男たちに投影されている。組織の中でしか生きられず、どんなことでも、「御意」と従いながらも、簡単に首を切られてしまう男たちの姿は悲哀に満ちており、むしろ男性は、悪役のおじさんたちに共感して見ているのかもしれない。

 大病院を取り込む形で運営されている国立高度医療センターは東帝大学病院と西京大学病院で派閥が分かれている。そこに看護部という第三の勢力も絡み、派閥としがらみで息苦しい中、大門だけが自由にすり抜けていく。物語は毎回冒頭にシリアスなナレーションと共に口笛のSE(効果音)が入るのだが、まるで現代の西部劇を見ているかのようだ。

週刊朝日  2014年12月5日号


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