直木賞作家・黒川博行氏「高齢社会の悪『後妻業』増える」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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直木賞作家・黒川博行氏「高齢社会の悪『後妻業』増える」

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週刊朝日

後妻業

黒川 博行著

978-4163900889

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 夫の勇夫さん(当時75)を青酸化合物で殺害したという殺人容疑で、11月19日、筧(かけひ)千佐子容疑者(67)が緊急逮捕された。逮捕された67歳の女は、4人の夫、内縁関係の男性らに公正証書などを書かせたうえで死別を繰り返し、総額8億円の遺産を相続していた。「後妻」を生業としたその手口とは。

 注目すべきは千佐子容疑者の2番目の夫、Mさんだ。兵庫県西宮市在住で薬品関係の会社を経営していた。Mさんの会社で青酸化合物を扱っていなかったか、と記者が質問するとこう気色ばんだ。

「青酸化合物などありません。薬局で売っている大衆薬のような薬品の問屋みたいな会社を経営してただけや。どうしてもうちを毒殺の犯人にしたいのか。Mさんの遺産相続はきちんとやった。3千万円をMさんの子供らとわけわけした」

 そして本誌(8月15日号)で報じたとおり、捜査が大きく動いたのは夏だった。

 千佐子容疑者が3番目の夫の死亡後、交際し、内縁関係にあった大阪府貝塚市に住んでいた本田正徳さん(当時71)が12年3月、ミニバイクで転倒し、死亡した。

 当時は事故と判断されたが、勇夫さんの事件が発覚し、再捜査した結果、保存されていた本田さんの血液から青酸化合物が検出されたのだ。

「千佐子容疑者が、事故現場に行き、病院で本田さんの本人確認をした。自宅から青酸を詰めた可能性のあるカプセルも大量に発見された」(前出の捜査関係者)

 その後、千佐子容疑者は本田さんのマンションや預金を相続したという。

 そして警察が勇夫さん、本田さんの次に注目するのは、13年9月、内縁関係にあったHさんが兵庫県内で急死した案件だという。

「Hさんがファミリーレストラン前で倒れ、千佐子容疑者が通報したときは、妻だと名乗っていました。内縁関係にあり、500万円くらいの遺産を相続したようだ」

 そしてHさんが死亡したわずか2カ月後に千佐子容疑者は4番目の夫、勇夫さんと結婚。翌月には急死という目まぐるしさだ。

 結婚相談所で知り合った高齢男性を遺産目当てに次々と殺害する女らを描き、ベストセラーとなっている直木賞作家、黒川博行氏の『後妻業』(文藝春秋)を彷彿とさせる犯行──。

 黒川氏がこう言う。

「『後妻業』は4年前の知人の体験をモチーフにしました。知人の91歳の父親が結婚相談所から紹介された78歳の女性と内縁関係となった後、脳梗塞で亡くなった。女性は公正証書遺言書を盾に遺産1億円をとり、不審に思った知人が弁護士に依頼し、女性の身元を調べると、9年間で4人の男性と結婚、死別していました。高齢社会の日本で、この種の事件は今後、増えると思います」

 全貌解明が待たれる。

(今西憲之/本誌・横山 健)

週刊朝日  2014年12月5日号より抜粋


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