慢心の首相に逆風 会見失敗で50席減も 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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慢心の首相に逆風 会見失敗で50席減も

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本会議で解散詔書が読み上げられ万歳する衆院議員=21日午後1時14分 (c)朝日新聞社 

本会議で解散詔書が読み上げられ万歳する衆院議員=21日午後1時14分 (c)朝日新聞社 

 自らのために断行した衆議院解散。「一人でも多く当選することが、成長戦略を進めることにつながる」。安倍晋三首相は自民党議員にそう檄を飛ばしたが、先週の会見は不発に終わり、当初の楽勝ムードは一変。50議席減の可能性も出てきた。「大義なき解散」批判を、首相ははね返せるのか。

 共同通信が会見直後の19、20日に実施した全国電話世論調査では、首相が解散表明したことについて、63%が「理解できない」と回答。

 朝日新聞が両日実施した調査では安倍内閣の支持率は39%(今月8、9日の全国世論調査では42%)、不支持率は40%(同36%)。第2次安倍内閣発足以来初めて、支持と不支持が逆転した。

 自民党幹部は「首相は報道番組にも出て解散を正当化したけど、逆効果だった。視聴者は、初めから解散ありきで理由は後付け、と見破っていた」と頭を抱える。

 首相が会見で語った「勝敗ライン」が低すぎることにも、不満の声が上がる。

 安倍首相は18日の会見で、「自民、公明の連立与党で過半数を維持できなければ退陣する」と語った。しかし、衆院の自民党の議席は295(伊吹文明議長を含む)、公明党は31議席。足すと与党で326議席だ。次の衆院選は定数が475になるため、過半数は238。つまり89人が落選した場合は退陣、88人落選なら続投ということになる。

 この“大甘”な首相の勝敗ラインに、慌てた自公幹部は翌19日朝、都内で会談。目標を与党が全常任委員会で委員長を独占し、全常任委員会で過半数を確保する「絶対安定多数」(266議席)へと上方修正した。

 前出の自民党幹部が嘆く。

「数字を聞いて耳を疑いましたよ。大幅に議席を減らしても首相の座に居座りたい、という意思にも見えた。党全体の士気を下げる発言です」

 安倍首相の求心力が低下する一方、息を吹き返しているのが野党第1党の民主党だ。11月上旬に党が行った情勢調査では所属衆院議員55人のうち、約半数が相手の自民や維新などの候補に負けるなど、散々だった。海江田万里代表(東京1区)もその一人だった。

 だが、18日の首相会見を境に確実に風向きが変わっている、と民主党の中堅議員は言う。

「民主党に積極的に投票するという人はまだ少ないですが、『安倍さんにまた勝たせると危ないよね』という声は街頭で一気に増えています。選挙区での野党候補の一本化がしっかりと進めば、議席は確実に増えていくでしょう」

 首相が繰り返した民主党批判も、実は大きな追い風になっているという。

 安倍首相は記者会見やインタビューで「民主党はマニフェストになかった消費税引き上げを、国民の信を問うことなく行った」「私が驚いたのは、民主党が選挙に反対していたことだ。民主党は政権を取るつもりがないのか?」などと挑発した。

 民主党のベテラン議員は言う。

「あの発言で国会議員、地方議員、秘書、党職員の結束がより強まりました。12月は動きの鈍い支持母体の連合や組合も、『あれだけコケにされたら、黙っていられない』と前回2年前の倍近いスタッフが駆けつけてくれている。12月議会で忙しい地方議員も精力的に支援者を回っている。首相は寝た子を起こしてくれました」

 民主党内では今の勢いが続けば、「100議席をゆうに超える」との声も上がっているという。

週刊朝日 2014年12月5日号より抜粋


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