堀江貴文氏は、スマートフォンがインターネットの発展に関わっているとこう語る。

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■テスラのCEOイーロン・マスクがインターネット用衛星打ち上げを計画

 イーロン・マスクが立ち上げた、SpaceX社が衛星打ち上げコストの低減化に成功したからこそ今回の計画、すなわち地球低軌道に約700機の衛星を打ち上げて高速ブロードバンド接続を実現するという計画が現実的になったのだろう。

 今でも衛星携帯電話や衛星インターネット接続用に、インマルサットやイリジウムのような通信衛星が使われている。民間旅客機や客船からのインターネット通信や、僻地などでの衛星通信に使われているのだ。

 しかし、大きなパラボラアンテナが必要だったり、通信速度が十分でなかったりと、いろいろと実用性には問題がある。最近、衛星そのものの大きさを小さくできたり、効率のよい通信技術が開発されたこともあり、イーロンの計画が現実味を帯びてきたのだ。

 スマートフォンの普及は、かつて早々に撤退した航空機内のインターネット接続サービスを復活させることに成功した。一度は潰れたイリジウムやグローバルスターなどの衛星コンステレーションによる全球規模の通信サービス会社も勢いを少しずつ取り戻しつつある。

 つまり、シームレスに全世界でいつでもスマートフォンでインターネットに接続するというニーズが高まっているのである。どんな環境下にあったとしても、一度「圏外」になってしまうと、多くの人がストレスを感じる社会になったということである。

 たくさんの衛星を打ち上げればそれだけ通信スピードも上がるようになる。テキストベースではメール程度で満足していた時代から今や動画なども見たいというのが普通になってきている。つまりブロードバンドが求められているのである。そのためにはもっと多くの衛星が必要になってくるだろう。

 それだけにとどまらない。成層圏に気球や飛行船、ドローンを浮かべて僻地のインターネット接続をサポートする構想も具体的に動き出している。太陽光エネルギーだけで1年以上成層圏を飛行する実験も成功している。また途上国での携帯電話基地局の設置もどんどん進んでいっている。

 近い将来、この地球から「圏外」はなくなっているに違いない。とはいえ、今の衛星打ち上げコストではまだまだ採算に合わないということになるかもしれない。私たちが計画している低コスト小型衛星打ち上げロケットの出番もやってくるかもしれないので、鋭意開発をスピードアップしているところである。

 思えば最初にインターネット接続した時代はダイヤルアップ接続という公衆回線経由の遅いスピードでの接続が当たり前の時代だった。それが専用線接続になりADSLの登場などで激安になった。そしてスマートフォンの登場で3G、4Gと高速になっていった。大規模に普及すれば、値段は飛躍的に下がっていく。皆がスマートフォンにハマればハマるほど世界中で圏外がなくなっていくに違いないのである。

週刊朝日  2014年11月28日号