同窓会に足を運ぶシニア世代は増えている。シニアマーケットの研究をしている「ADKアラ☆ダン研究所」の2012年の調査によると、同窓会・OB会に「よく参加する」「たまに参加する」と答えた60歳以上の男女は約64%。70代前半ではさらに増え、男性で約84%、女性で約75%にのぼる。それだけ身近なイベントになっている。

 最も人口が多い団塊世代は65歳以上を迎え、高齢者が総人口の4分の1を占めるなど、シニアの消費マーケットは100兆円を超える規模とも言われる。ニッセイ基礎研究所の久我尚子さんは指摘する。

「男性はリタイアすると会社というコミュニケーションの場がなくなります。このため『居場所』を求めて参加する方も多いのではないでしょうか」

 こうした観点から、同窓会はいまやシニア層向けのビジネスの一分野としても注目されているようだ。

 02年創業で、同窓会の会場手配や案内状の送付、参加者の確認など幹事を代行する「同窓会ネット」代表取締役の伊丹正人さんが分析する。

「東日本大震災以降に絆が大切だと感じた方が多いせいか、震災前よりお問い合わせが2~3割増えました。同級生同士がつながりやすいフェイスブックの浸透も影響しています。シニアはリタイア後ほど盛んに開かれている印象です」

 男女で参加率は違うのか。

「同窓会は、今の自分に自信のある方ほど参加しやすい。男性は退職とともに会社の肩書を失うため『これで同じスタートラインに立てる』と考えるのか、参加率が上がるんです」(伊丹さん)

週刊朝日  2014年11月28日号より抜粋