新薬や新技術など、日々進化する医学。スマートフォンの普及で、医療業界にさらなる変革がもたらされていくと、堀江貴文は言及する。

*  *  *

■「Twine Health」で持病との向き合い方が変わる

 持病の場合、定期的に病院に通院しなければならないが、その負担をスマートフォンを活用して低減させようという試みである。

 この分野はこれからもっと大きな市場になっていく可能性が高い。まずは診断である。アプリだが馬鹿にしてはならない。アプリ上の問診でも90%以上の病気がわかると言われている。

 現在の医師は専門特化が激しく、自分の専門分野以外の知見が乏しい場合が多い。基本的な部分はわかっているのだろうが、病名を平気で間違うこともあるし、むしろ最新の研究結果を全てフォローしたシステムが自動的に診断を下したほうがいいという見方もある。さらに、血液検査やMRIやCT、エコーなどの画像診断などを組み合わせると99%近い診断が可能だという。

 血液検査などの機器は小型化、低価格化が進んでいる。血糖値などの測定は採血しなくともできるようになるテクノロジーが開発されつつある。また、MRIやCT、エコーなどの機器も低価格化、普及が進んでいる。それをシェアしようという動きも進んでいるのだ。

 大学病院などの施設では毎日のように検査設備はフル活用されているが、地方の過疎地にある病院などではあまり活用されていない。それをウェブ上でシェアすることができるようになるのである。

 また、画像診断もクラウドソーシングの流れができつつある。画像をシェアして遠隔地にいても、一枚いくらで画像診断を請け負ってもらうのである。つまり初診はスマートフォン経由で診断をして、その段階で病名が確定すれば、処方箋を出してもらって近くの薬局で薬をもらい、服薬するという流れができる。そうなれば病院の負担も軽減されるし、健康保険の費用の増大問題にも良い影響を及ぼすだろう。

 医師はもっと高度な医療や救急医療などに特化し、それ以外は看護師や患者がセルフサービスするような医療が望ましい。薬局はその役割を果たしてはいるが、やはりOTC薬品(一般用医薬品)は安全性を求めるあまり、薬効が医師から処方される薬よりも小さいケースが多い。スマートフォンの普及で、これまでできなかったシステムが構築できることを期待したい。

 病気になる前の予防も大事だ。常に自分の身体数値をモニタリングしながら病気にならない生活習慣を心がけることを促進するための仕掛けだってスマートフォンを活用してできないだろうかと考えている。

 すでに堀江貴文サロンの歯科ビジネスグループでは歯周病などの予防のためのプログラムを普及させるべく頑張っている。歯周病の予防には年に最低2回は歯科で歯石除去をしなければならないが、その周知徹底がされていない。本来は歯石除去をしない場合、健康保険が適用できないようにするなど制度上の仕掛けが必要だが、それを待ってもいられない。スマートフォンは医療もイノベーションしようとしているのである。

週刊朝日  2014年11月14日号