昨年12月19日早朝、「餃子の王将」で知られる王将フードサービスの大東隆行社長(当時)が京都市山科区の本社前で何者かによって射殺された。その未解決の王将社長射殺事件についての驚くべき「新証言」が、獄中から送られた大量のノートや手紙には綴られていた。その送り主は大阪府警の「スパイ」とされ、拳銃のスペシャリストA被告だ。

閑静な住宅街にもかかわらず、銃声を聞いた者も犯人らしき人物を見た者もなく、捜査は難航している。手紙にはこう書かれていた。

<(使用された拳銃は)最初22口径と発表されたので、早まったナと思っていたら案の定25口径に訂正され、ああやっぱりナと>

 京都府警によると、犯行に使われたのは小型の25口径の自動式拳銃だ。

「犯人は、的確に拳銃を発射して命中させている。そして、犯行をばれにくくするためか、比較的小さい口径の拳銃を使用。銃声が響いておらず、拳銃に改造を加えていた形跡もある。間違いなく、プロが関与している」(捜査関係者) 

 ノートの記述によると、王将事件の犯行で使われた25口径の拳銃は銃弾の初速が遅いため、サイレンサーをつける改造をすると、発射音をかなり小さくすることができるという。

<25(口径)ならエアーガンと同じかそこにエアークッションのプチプチを潰した時の「パチッ」の音を足した位です>
 ノートには以下のような記述もあった。

<「25(口径)のサイレンサーと言えばX!!」このキャッチフレーズは道具(拳銃)をさわっている者なら皆知っており、知らない奴はもぐり>と犯行に使われた拳銃について、ある人物の名前を示唆しているのだ。

 こうした情報は、銃声を聞いたという証言がほとんどないという王将事件の状況と一致する。

 そしてこの25口径のサイレンサーモデルの改造や販売に通じていたのが、銃に詳しいX氏だというのだ。

 このX氏が改造を加えていたのが「RAVEN(レイヴン)25」という安価で知られる米国製の小型拳銃。そのサイレンサーモデルについて、さらにこう記されていた。

<突破口となるのは25(口径)のサイレンサーを誰が調達して誰の手に渡ったのか? カギを握るのはRAVENしかありません>

<XはこのRAVENを使って王将の社長が殺されたのではないか……と内心ビクビクしているのです>

(ジャーナリスト・今西憲之、本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2014年11月14日号より抜粋

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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