続編もの、漫画原作もの、"女の戦い"など、話題の秋ドラマが始まった。好調な滑り出しを見せる作品がある一方で、イマイチな作品も……。

 設定が「ありえない!」と言われているのが、竹野内豊が演じるタクシー運転手。2年ぶりの連ドラ主演となる「素敵な選TAXI」(フジテレビ系、火曜)は、お笑い芸人のバカリズムが脚本を担当した。過去に戻ることができる「選TAXI」に乗った乗客の人間模様が1話完結で描かれるが、毎回ゲストの物語が主軸になるため、

「竹野内が『世にも奇妙な物語』のタモリさんのような役目。だったらタモリさんでよかったのではって思っちゃう」("おネエ"映画ライターのよしひろまさみち氏)

 目新しい作風ながら、いまいち竹野内を堪能できないところに不満がたまりそうだ。

 キャストをいかしきれていないのは、「SAKURA」(TBS系、月曜)も同様だ。朝ドラ「花子とアン」の葉山蓮子役が話題になり、9月に結婚を発表した"旬"の仲間由紀恵が主演。独自の"聞く力"で極秘潜入捜査官として事件を解決するというのだが、

「特殊能力を持つ警察官というのは今までにもよくあったのですが、その上、潜入捜査をするわ、下町で覆面DJをやるわ……。とてもリアリティーがない」

 そう話すテレビコラムの連載を持つライターの吉田潮氏が、同じく切り捨てるのが、EXILEのMATSUこと松本利夫が初主演の「ビンタ!」(日本テレビ系、木曜)。これも漫画原作で、元暴走族総長が法律事務所の事務員としてトラブルを解決する物語だが、

「松本は演技力がないわけではないけれど、何かと言うと愛だの絆だの家族だの、ほとんどマイルドヤンキーのためのドラマです」

 ちなみに、同じEXILEメンバーで"慶応卒""御曹司"という異色の岩田剛典も、「ディア・シスター」に出演している。ドラマへのEXILEファミリー進出について、芸能関係者がこんな事情を打ち明ける。

「どんなに数字が低くても、大根でも、EXILEのドラマ進出は今後も続きますよ。彼らは現場での評判が良い。松本やボーカルのTAKAHIROなどドラマの現場ではエキストラにも丁寧なあいさつを欠かさない。差し入れも豪華。事務所社長のHIROの徹底した指導の賜物(たまもの)のようです」

 現場の後は、視聴者の心もつかめるだろうか。

(ライター・成田璃子)

週刊朝日  2014年11月7日号より抜粋