HONZ代表・成毛眞さん 撮影/大嶋千尋(写真部)
HONZ代表・成毛眞さん 撮影/大嶋千尋(写真部)
林真理子さん(撮影/写真部・大嶋千尋)
林真理子さん(撮影/写真部・大嶋千尋)

 成毛眞さんといえば、IT業界の草創期を支え、36歳でマイクロソフト日本法人の社長に就任した人物。現在は、投資コンサルティング会社の取締役ファウンダー、スルガ銀行社外取締役、早稲田大学ビジネススクール客員教授などを務め、書評サイト「HONZ」を運営している。作家・林真理子さんとの対談で、今は株にいい時期と語る。

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林: いま、株はやっておいたほうがいいですか。ちょっと上がってるみたいですけど。

成毛:いい時期だと思いますよ。現金とか不動産とか債券とか金とか、いろいろ資産がある中で、100年間見たときに最後まで上がり続けてるのは株だけみたいですね。

林:ときどきうちのポストに証券会社の手紙が入ってるんですよ。「本を読みました。感動しました。ぜひ担当させてください」とか手書きで書いてあるからついホロリとしちゃって、やってみようかななんて。

成毛:○○證券ですね。

林:そうです。どうしてわかるんですか。

成毛:あそこの新入社員は義務としてやらされるんです、毛筆の手書きの手紙。やめたほうがいいですよ。新人には情報が来ないですから。証券会社の偉い人とつき合えば別だけど。

林:成毛さんが株をやるときは、ネットですか。

成毛:僕は個別の株を買うことはないんです。インスパイアという会社を個人的に所有していてそこがベンチャー企業に投資をしてるんです。

林:そうか、投資コンサルティングの会社をお持ちなんですもんね。ユーグレナ(ミドリムシの大量生産に成功した企業)ってすごいんでしょう?

成毛:インスパイアはユーグレナの筆頭株主なんで、40億ぐらいあるんじゃないですかね。売れませんけど。

林:ちょっとぉ……。急に成毛さんの存在が遠ざかっていきましたよ。いまからユーグレナを買ったってダメでしょう?

成毛:難しいでしょうね。

林:そういうこと知らないんだもん、私たちふつうの人は。

成毛:商品がおいしくなったとか、便利になったとか、小さな感動ってあるじゃないですか。そういう会社の株がいいと思いますね。食べ物や乗り物といった身近なもの。難しい株をやらないほうがいいですよ。

林:この本(『成毛眞の本当は教えたくない意外な成長企業100』)では投資や就職、転職にということで「意外な成長企業」が紹介されてますが、ワコールやヤクルト、森永製菓といった私たちがよく知ってる企業もあって、おもしろかったです。

成毛:ヤクルト、おもしろいですよね。女性をリクルートするために営業所に保育所をつくっていったら、それがビジネスになりかかってるという。社会からはありがたがられるわ、"三方一両得"だけど、ヤクルトの経営者がそれに気がついてるかどうかわからない。大企業は意外と自分たちの価値がわかってなくて、誰かに教えてもらって「ああ、そうだったのか」というのが多いのかもしれませんね。

週刊朝日  2014年11月7日号より抜粋