日本シリーズ進出を決めて喜ぶ阪神ファン (c)朝日新聞社 @@写禁
日本シリーズ進出を決めて喜ぶ阪神ファン (c)朝日新聞社 @@写禁

 タイガース29年ぶり日本一や! トラキチの歓声が聞こえる。今年も日本シリーズが始まった。しかし、本当に勝てるのか? 野球通たちに聞くと“天地人”の利があるという。

 まずは「人の利」から。ケガでシーズン中は出場機会がほとんどなかった西岡剛が、クライマックスシリーズ(CS)では、6試合すべて1番で出場して、計10安打と大爆発した。この西岡、実は日本シリーズにめっぽう強いのだ。

「西岡はロッテ時代の2005年、10年と日本シリーズに2回出場しています。すべてスタメン1番で出場し、ノーヒットは1試合だけ。今回も期待できます」(野球ライター京都純典[みやこすみのり]氏)

 西岡が塁に出れば、阪神は“勝ちパターン”へ持っていける、と京都氏は語る。

「3番の鳥谷敬は直近3年間の対ソフトバンク戦の打率が3割9分と相性がよく、4番ゴメスは打点王、5番マートンは首位打者。西岡が出塁して、クリーンアップでかえすのが、CSでの阪神の得点パターンでした。01年以降の日本シリーズでは、先制点を取ったチームの勝率が76%というデータを見ても、西岡の活躍がカギとなるはず」

 2つ目は「地の利」だ。前回、阪神が日本シリーズでソフトバンク(当時はダイエー)と対戦した03年は、すべての試合でホームチームが勝った。03年は、1、2、6、7戦が福岡でホークス、3、4、5戦は甲子園で阪神が取ったが、4勝3敗でホークスが日本一となった。今年は甲子園で開幕してホームゲームは阪神が4、ソフトバンクが3。やはり初戦は阪神がものにした。第2戦は接戦の末、落としたが「ホーム4」の地の利は大きい。スポーツ紙デスクはこう語る。

「かつて横浜に在籍していたソフトバンクの吉村裕基は『甲子園で守備をしているとスタンドがチャーハンのように見える』と言っていた。阪神ファンの着ているユニホームに黄色やピンクもあるので、それが混ざってチャーハンのようになり、打球が見えにくくなるようです」。甲子園に不慣れなソフトバンクには、思わぬ敵もいるようだ。

 最後は「天の利」。9月上旬の「悪夢の6連敗」で、一時は続投が危ぶまれた和田豊監督。だが、ある試合がきっかけで悪い流れがガラッと変わった。

「10月6日に、広島のエース・前田健太が巨人に負けたことで、広島が3位に転落。阪神はタナボタで2位になった。それにより、CSファーストステージを甲子園球場で戦うことができたうえ、広島の前田は中4日の登板を余儀なくされた。ファイナルに勝ち進むと、今度は巨人のエース菅野智之が故障で離脱……もうこれは、和田監督の“運”としか言いようがない」(在阪野球記者)

 この「運」を持続できるか気になるところだが、同記者はこう断言した。

ドラフトで1位指名した早大の有原航平のクジを見事に外しました。これは“運”を使い切らないで、日本シリーズまで残したということでしょう!」

週刊朝日 2014年11月7日号より抜粋