来年1月のセンター試験では、今まで1科目でよかった文系の理科が、基本2科目になる。この影響が私大受験にも及びそうだ。

「理科の負担が増すため、国立文系を避ける傾向があります。私立文系の一般入試が難化しそうです」

 こう語るのは、河合塾教育情報部部長の近藤治氏だ。

 河合塾が8月に実施した「全統マーク模試」での志願者数をみると、前年を100として国立文系は96、私立文系は97だ。差が顕著なのは法学部で、国立は98と志願者数減なのに対し、私立は102と増えている。

 来年は早大・慶大が狙い目だというのは、代々木ゼミナール入試情報センター統括本部長の坂口幸世氏。

「浪人してでも早慶に行きたいと思う受験生が多いため、例年、早慶の合格者の約4割は浪人生です。今春は浪人する人が少なかったため、例年に比べると早慶、特に早大は入りやすいと思います」

 今夏行われた代ゼミの「全国センター模試」では、早大で志願者数が増えた学部は101の国際教養だけ。商は88、それ以外の文系学部はすべて90台と昨年よりも減っている。これに対し慶大は、経済が94、法が98と減ったが、商101、文102、総合政策110と志願者が増えている。

 河合塾の「全統マーク模試」では、早慶の差がさらに大きい。早大のすべての文系学部が93~99で志願者を減らしているのに対し、慶大は法だけが99で微減だが、経済101、文102、商と総合政策は106で昨年より志願者を集めた。

 志願者数で早慶の差が開いた要因の一つと考えられるのが、慶大の入試日の前倒しだ。文学部、法学部を除き、各学部2日以上前倒しとなっている。

 駿台予備学校進学情報センター長の石原賢一氏は、日程変更の効果について、こう分析する。

「入試日を早めることによって、2次試験までの日程に余裕ができ、国公立大志願者が併願受験をしやすくなります。また、数学が必要な理工、経済と商の日程を連続させることにより、地方の受験生が三つの学部を併願しやすくなります」

 このほか、これまで早大と同時期だった合格発表日が早まるメリットもあげる。

「国公立大の2次試験までに合格発表がほぼ終わります。経済や商などでは、早大よりもかなり先に合格が出ます。慶大に入学手続きをするケースも増えるでしょう。また、16年度から東大の推薦入試、京大の特色入試が導入され、2月中旬までに合格発表がほぼ終わるため、前年から入試日を早めたとも考えられます」

 慶大の入試日変更は、他大学にも影響しそうだ。

「特に影響を受けそうなのが、慶大の経済と同じ日に入試を行う立教大の経済です。例年より成績上位の受験生が減るでしょうから、立教は狙い目です」(石原氏)

(ライター・庄村敦子)

週刊朝日  2014年10月31日号より抜粋