「まだお芝居を始めて3年ですけど、『愛の渦』での、監督や、スタッフや、共演者の方たちとの出会いは大きかった。こういう純粋な志を持った人たちが、必死でモノづくりをする現場に参加するからには、私も死ぬ気でかからないと、と思いました」

 表現する仕事にこだわりがある割に、自己顕示欲は強くない。“売れたい”とか“有名になりたい”という欲はなく、現場ではいつも、監督やスタッフや共演者のために頑張りたいと思うのだそうだ。

 日本初のヨガ映画、「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」。この映画で彼女は、青森から上京したばかりの女の子を演じている。テレビでヨガを披露するトップモデルに憧れ、彼女がインストラクターを務めるヨガスタジオに通い始めるのだが、津軽弁も、田舎育ちらしい純朴な言動も、すべてがリアリティーに満ちていて、一人の女性の成長ドキュメントを見るようだ。

「よく、その役の立ち方を考えたりします。不器用なので、体の隅々まで、“そうだ!”って思ってからでないと、うまく動けなくて(苦笑)」

 表情や台詞だけではない。しぐさや動きの中で感情をクリアに表現できる、稀有な存在である。

週刊朝日 2014年10月31日号