国を超え、茶を愛する人々からその価値を認められた茶筒蓋がすっと閉まり、力を入れずに開けられるのは、繊細な手仕事でミクロン単位の調整をしているから。ブリキの茶筒は40年ほど使いこむと、一番奥のような色と風合いに。変化を愛でつつ、道具を育てる楽しみがある。日本茶だけでなく、紅茶・コーヒー・中国茶にも。湿気を嫌う食品を守る(一番奥は40年ほど使ったブリキの茶筒・非売品)
国を超え、茶を愛する人々からその価値を認められた茶筒
蓋がすっと閉まり、力を入れずに開けられるのは、繊細な手仕事でミクロン単位の調整をしているから。ブリキの茶筒は40年ほど使いこむと、一番奥のような色と風合いに。変化を愛でつつ、道具を育てる楽しみがある。日本茶だけでなく、紅茶・コーヒー・中国茶にも。湿気を嫌う食品を守る(一番奥は40年ほど使ったブリキの茶筒・非売品)
すっと閉まる蓋
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すっと閉まる蓋
手前は銅製平型(筆者私物)
手前は銅製平型(筆者私物)

 週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。

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 今回は、開化堂 ブリキ製茶筒を紹介する。

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■日本のしつこい湿気から茶葉を守る

 毎朝、ていねいに淹れた緑茶を飲むのが習慣。新茶の季節が終わり、しつこい湿気の季節が到来すると茶葉の香りと色の劣化が早い。少しでもおいしさを長持ちさせるために愛用するのが、京都・開化堂の茶筒だ。

 蓋と胴の継ぎ目の線を合わせて蓋を軽く押すと、すうっと音もなく蓋が自然に沈み込んで、ぴちっと閉まる。職人の手仕事による、高い気密性を保つ精密な道具とわかる瞬間だ。

 開化堂の茶筒では銅製が人気。筆者も最初の三つは銅製にしたが、今回はクールな印象のブリキ製を購入。型と素材と容量の違う茶筒を揃えるのは、茶葉の種類ごとに使いわけたいから。

 ブリキは明治8年創業の同社の原点の素材。初代が英国から輸入されたブリキを最初に採用したのだとか。そして今年、同社の茶筒は、芸術とデザインを専門とするロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館の永久所蔵品となった。紅茶の国が認めた、京都発の日々の道具。

<今日の逸品>
開化堂 ブリキ製茶筒
ブリキ100g 1万円(税別)
平型200g 1万2000円(税別)
長型200g 1万2000円(税別)
問い合わせ先:開化堂

※開化堂 ブリキ製茶筒を購入する

週刊朝日 2014年7月25日号