SLやまぐち号は、11月23日(日)までの土、日、祝日に1日1往復運行(撮影/写真部・岡田晃奈)
SLやまぐち号は、11月23日(日)までの土、日、祝日に1日1往復運行(撮影/写真部・岡田晃奈)
運転士や機関士は当時を彷彿とさせる制服姿で乗務する(撮影/写真部・岡田晃奈)
運転士や機関士は当時を彷彿とさせる制服姿で乗務する(撮影/写真部・岡田晃奈)

 峡谷や田園地帯、山間部と、変化に富むJR山口線を駆け抜けるSLやまぐち号。豪雨災害を乗り越え、今も現役で走り続けている。

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「フォーッ!」

 山間部に響き渡る甲高い汽笛。黒煙を吐き、ドッドッドッと力強く駆けるSLやまぐち号。JR山口線・新山口─津和野間の62.9キロを約2時間で走る。

 昨年7月28日の豪雨災害で同沿線の橋3本が流失し、無念の運休。新山口─地福間で限定運行していたが、復旧工事が予定より早く進み、8月23日に再び津和野に姿を見せた。

“貴婦人”が愛称の蒸気機関車C57形1号機は、昭和12年製造。修理時に部品がなく、公園に展示されている蒸気機関車のパーツを譲り受けたこともある。

「とにかく調整に時間がかかりますが、手をかけた分、反応があるのでやりがいがあります」

 と話すのは、SLやまぐち号の整備に携わって3年目の細川洋基さん(31)。

 意のままにならず、手がかかる。しかし、ひとたび動きだすと、漆黒の車体は圧倒的な存在感を放ち、人々を魅了する。まさに“貴婦人”の名にふさわしい。

週刊朝日  2014年10月24日号