プロゴルファーの丸山茂樹氏は、米ツアー中に発表された日本の国内ツアー年間出場義務試合数の変更に関して、特定の選手にはツラいことだとこういう。

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 うれしいニュースが飛び込んできました!

 ジュニア育成のテレビ番組のメンバーである永井花奈さん(17)が、国内メジャーの日本女子オープンゴルフ選手権(10月2〜5日、滋賀)で日本勢最高の3位に入りました。歴史のある大会ですけど、アマチュアの日本選手としては過去最高位なんですってね。アッパレ、アッパレ。おめでとう!

 彼女はずっと僕のホームコースである「ファイブエイトゴルフクラブ」で練習してましたし、「丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」にも何度も参加してくれてるんです。

 ショットの安定感が、僕が見てきたジュニアの子たちの中でも抜群で、センスもいいものを持ってます。頑張って着実にステップアップしてきた子ですし、この活躍も何ら不思議はない。今後はプロとして、その名をみなさんの記憶に刻んでいくんだと確信しています。

 話題は変わりまして、英樹です、松山英樹(22)。いよいよ米PGAツアーへの本格参戦2シーズン目が始まりました。晴れ晴れとした気持ちで臨んでほしいんですが、英樹自身にも、英樹の周囲の人たちにも、一つ引っかかることがあると思うんです。

 それは国内ツアーの年間出場義務試合数の問題です。ツアーを運営する日本ゴルフツアー機構が今年3月、複数年のシード権を持ち、海外ツアーのメンバーでもある選手に5試合以上の出場を義務づけました。これまで「3」だったのが、「5」に増えたんです。条件を満たさない場合は、1年間の出場停止になってしまいます。

 米ツアーを主戦場にしている英樹や(石川)遼にとって厳しい数字です。しかも決定したのが、さっきも触れたように、今年3月。米ツアーは前年の10月に始まっています。正直言って、ムチャな話です。

 英樹と遼には、寝耳に水の決定だったはずです。どうして機構は決定するまでの過程で、2人に事情を聴いた上で検討しなかったんでしょうか。しかも発表が米ツアー開幕の5カ月後では、あまりにフェアさを欠くじゃないですか。

 僕が米ツアーに挑戦してるときの出場義務は3試合でした。米ツアーの開幕前に3試合を組み込んだスケジュールを立てられましたからよかったですけど、今回のケースは選手にとってツラい。

 遼は5試合の出場を果たしましたけど、英樹はケガもあったので、ここまで1試合に出ただけ。仕方がないことだと思います。

 機構の意図も分かりますよ。国内ツアーに出場することで、「日本ゴルフ界にも少し貢献しなさい」ってことでしょう。でも海外で、そもそも過密なスケジュールの中で無理難題を課されたら、選手だってヘソを曲げかねない。無理して日本へ戻っても、いい成績を収められないとなれば、「ティーショット一発打って帰ればいいのか」って話になりますよ。極論ですけど。

 英樹と遼は日本ゴルフ界に育ててもらったという思いを持って、過酷な米ツアーで頑張ってるんです。彼らの挑戦は、必ず日本のゴルフ界にプラスをもたらします。機構関係者のみなさんには、そこをしっかり考えてもらいたいです。

週刊朝日  2014年10月24日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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