イスラム国参加志願「北大生(26)聴取」の本当の狙い (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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イスラム国参加志願「北大生(26)聴取」の本当の狙い

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「シリアにもイスラム国にも関心はない。日本のフィクションが嫌いで、人を殺す場面で自分がどういう心境になるのか興味がある」

 常岡氏はさらに言う。

「現地ではテロリストでさえ、シリアのことを思い、心を痛めている。シリアに関心がない人はいない。この学生は本気で行く気はないだろうと直感した」

 明るく爽やかに自殺願望を口にする様子にも違和感があったという。直感があたったのか、当初の出国日だった8月11日の当日、男子学生は、「友人にパスポートを盗まれたので、警察に行く」と言いだし、出国をドタキャン。しばらくして、「警察に『イスラム国へ行くのか?』と聞かれた」と言い、常岡氏がもともと仕事で渡航を決めていた10月7日に別の便を予約したという。公安部の捜査員7人が、都内の常岡氏の自宅に家宅捜索に来たのは、出国前日の6日夕方。任意同行は拒否したものの、パソコンやカメラなどが押収されたという。

 男子学生は調べに対し、

「就職活動がうまくいかなかった。死にたかった」と話し、やはり戦闘地に行く気はなかったようだ。

「これは取材妨害だ。国連安保理が、テロ目的で外国に渡航する者を各国で処罰するよう求めることを決議し、日本の警察当局としても成果を示す必要があったのだろう」(常岡氏)

 司法関係者も指摘する。

「公安事件は通常、家宅捜索の場面がニュースで流れることはないが、今回はカメラに撮らせていた。『海外で戦闘に加わろうとすると、罪になる』ことのアピールだろう」

 実は刑法の「私戦予備・陰謀罪」には実際、現地で戦った場合の規定がなく、これも捜査に影響したとみられる。東京造形大学の前田朗教授(国際刑法)の解説。

「外交上の利益を守るための法律であり、予備と陰謀罪しかありません。現地の戦闘で人を死なせれば、殺人ですが、日本でわざわざ裁判をするでしょうか」

(本誌・古田真梨子)

週刊朝日 2014年10月24日号


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