プロゴルファーの丸山茂樹氏は、ジャンボ尾崎さんのアイデアが若手選手たちのスイングの基礎になっているという。

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 僕がライフワークとして続けているジュニア育成の取り組みが、テレビ番組になります!

 タイトルは「丸山茂樹ジュニアファンデーション~マルちゃんの世界へのかけはし~」です。とちぎテレビで10月7日午後8時に放送開始。毎週火曜のこの時間に25分間放送されます。千葉テレビやJ:COM、CSのゴルフネットワークでも見られますので、どうぞよろしくお願いします。

 僕のホームコースである栃木県矢板市の「ファイブエイトゴルフクラブ」を舞台にして、小学生から高校生まで12人の子どもたちとラウンドしながらのレッスンが中心になります。盟友の内藤雄士ツアープロコーチにも手伝ってもらいながら、盛り上げていきたいと思っています。

 プレーについてのアドバイスだけでなく、日常生活の悩みを聞いてあげたり、夢を語ってもらったり。いろんなやり方で、コミュニケーションの機会をつくるってことですね。

 子どもたちにとって、なかなかそういうチャンスはない。日本の男子プロがジュニアと一緒にラウンドしてるかといえば、聞いたことがない。著名なゲストを招いてラウンドする番組はたくさんありますけどね。そういう意味では、すごくいい番組だなと思います。

 一緒にラウンドしていて思うのは、ピュアな気持ちで練習していくことが進歩につながるってことですね。同時に、「みんなキレイなスイングするなあ」と感じますね。

 というのも、僕らのころといまとではジュニア育成のメソッド(方法)が違うんですね。昔はレッスンする人それぞれが持っているマニュアルで指導してました。だから古くはアーノルド・パーマーにジム・フューリック、青木功さんやジャンボ尾崎(将司)さんといった個性あふれるスイングをするゴルファーが数多く出てきたんですね。

 それがタイガー・ウッズが台頭すると、「近代ゴルフの祖」と言われたベン・ホーガンの流れをくむ直線的でキレイなスイングがゴルフ界を席巻しました。誰も彼もが同じメソッドでレッスンを受けるので、個性はなくなり、みんながキレイなスイングをする。日本ツアーで活躍し始めた若手はみんな同じスイングしてるでしょ?

 でも、そのメソッドの基礎になるラウンチアングル(打ち出す角度)やスピンコントロールなんかを最初に考えて実践したのはジャンボさんですよ。だから世界中がジャンボさんの真似をしてるようなもんです。

 技術面でのアイデアを出させたら、ジャンボさんが世界一だったでしょうね。とくに飛距離を出すための工夫に関しては、抜群のセンスを持ってらっしゃった。ティーを高くするのも含め、ドライバーで飛ばすためにあらゆることを考えた。理想に向かっていくたくましさで、ジャンボさんの右に出る人はいません。

 だからいま、子どもたちに無理やり個性を出させることもない。意識するのは、人間的な長所をゴルフに生かせるようにしてあげたいってことですね。石川遼のようにきちんと話せることや、僕みたいに変に明るいとかね。そういった性格の違いも見てあげて、アドバイスしたいです。

週刊朝日  2014年10月17日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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