勘違いしてない? 大企業に1/4還付される消費税のからくり

週刊朝日#増税
 安倍晋三首相は、再増税をするかどうかの決断を12月に下すという。再増税は果たして正しいのか。ジャーナリストの斎藤貴男氏は「消費税は弱い者いじめの税制だ」と主張する。

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 そもそも消費税という言葉自体が、誤ったネーミングです。「消費者が払う税金だから消費税と呼ぶ」と思い込んでいる人が多いようですが、間違いです。実際は、原則すべての商品やサービスのあらゆる流通段階にかかります。

 問題なのは、立場の弱い下請けは元請けに消費税を請求しにくいこと。また、価格競争が激しい業界では、販売価格に転嫁することができにくい。このため、自腹を切って消費税をかぶる企業が出てきます。

 自腹を切った企業は従業員の給料を下げ、さらに弱い立場の孫請けや仕入れ先を泣かせるでしょう。生き残るためにはそうするしかない。消費税は弱い者いじめの税制なのです。

 自民党政権は、価格への転嫁を促すため、いわゆる「消費税還元セール防止法」をつくりました。しかし、消費税という言葉を使わずに、「春の生活応援セール」などとすれば、罰せられることはありません。

 実は、消費税は滞納が最も多い税金です。国税庁によると、2013年度の新規に発生した滞納額は2814億円と、国税のワーストワン。滞納額全体の半分以上を占めました。

 価格転嫁できなかった立場の弱い企業は、自腹を切って、もしくは借金をして納税する羽目になります。納めたくても納められずに廃業してしまう中小零細企業が後を絶たないのです。

 一方、輸出の比率の高い大企業は笑いが止まらないでしょう。「輸出戻し税」をご存じですか。輸出企業は、部品などを仕入れた際、消費税を支払った“形”になっています。だけど、外国の顧客からは消費税を預かることができないので、支払った形になっている消費税が還付されるのです。

 とはいえ、取引の力関係上、実質的に支払わずに、相手に自腹を切らせていることも多いのです。それなのに還付をもらっている。輸出の多い大企業にとって消費税は「いただく税金」なのですね。政府の予算書の説明によると、13年度に国内の事業者が納めた消費税額は約12兆円(税率5%)。そのうち3兆円が大企業に還付されました。

 さらに消費税増税は、非正規労働者を一気に増加させることにもなります。

 カラクリはこうです。そもそも、納税義務者は、売上高に消費税率を乗じた金額を丸ごと納めるわけではありません。仕入れや必要経費として支払った形になっている消費税額を差し引いた金額を納めるのです。

 特筆すべきは、非正規の人手を調達するため派遣会社などに支払った外注費に消費税として乗せた形になっている金額も控除の対象になることです。会社にとって人件費の圧縮になり節税にも通じるとなれば、まさに一石二鳥で、非正規社員が一気に増えることになるわけです。

週刊朝日  2014年10月10日号

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