御嶽山火口の噴煙。山頂一帯には硫化水素が噴出し、救助を妨げた (c)朝日新聞社 @@写禁
御嶽山火口の噴煙。山頂一帯には硫化水素が噴出し、救助を妨げた (c)朝日新聞社 @@写禁
火山灰で埋もれた山小屋 (c)朝日新聞社 @@写禁
火山灰で埋もれた山小屋 (c)朝日新聞社 @@写禁

 長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(3067メートル)が7年ぶりに噴火した。山頂付近で多数の登山客らが巻き込まれ、犠牲者も出た。さわやかな秋晴れの空は一転、灰に覆われた。

 気象庁によると、噴火は9月27日午前11時53分。国土交通省中部地方整備局のカメラは、御嶽山の山頂南側付近から大きな数本の噴煙があがったのをとらえていた。噴煙はあっという間に山を下り、登山客らをのみ込んでいった。

 御嶽山から北東へ約1.5キロのペンション「京こじま」を経営する岩手一成さん(52)は直前、「ゴロゴロ、ゴロゴロ」という雷のような音を聞いた。

 地面が揺れることはなかったが、しばらくすると御嶽山の方向の空が真っ暗になって山の姿もまったく見えなくなり、ようやく「噴火だ!」と気づいたという。

「御嶽山が火山であることは知っているけれど、エネルギーを発散させている感じで、特に危険という意識はなかった」(岩手さん)

 気象庁によると直前まで御嶽山の噴火警戒レベルは1。唐突な噴火で事前に入山規制も行えなかった。行楽シーズンの土曜の昼とあって、当日は多くの登山客が訪れていた。山頂付近には約200人がいたとみられ、数人が生き埋めとなった。地震学者で建築研究所特別客員研究員の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏が首をかしげる。

「御嶽山は10年に1度くらいの噴火を繰り返す活火山で、観測はしていたはず。マグマが移動していれば体に感じないほどの微小な揺れが地震計に出てくるもので、入山規制をするなりの対策がとられるのが普通。今回のように突然、大きな噴火が起きるのは珍しい」

 ただ、予測不能なのが大自然の怖さでもある。もし、登山中に噴火に遭遇した場合、どうすればいいのか。火山噴火予知連絡会元会長の井田喜明氏はこう語る。

「基本的にはできるだけ早く下山するべきだが、火山弾が飛んできているようなら、おさまるまで山小屋や物陰に隠れるなどしたほうがいいでしょう。一番大切なのは、情報を集め、状況を見極めることです」

 御嶽山は多くの登山客を魅了する北アルプスにも近い。登山シーズンまっただ中に起きた噴火の影響は、どこまで広がるのか。前出の都司氏は指摘する。

「距離が近い活火山の焼岳(長野県松本市)には影響がある可能性はある。そもそも東日本大震災の影響で日本全体が噴火と地震の活動期に入っていると考えたほうがいい」

 警戒レベルが高まっている火山は他にもある。注意が必要だ。

(本誌・古田真梨子、小泉耕平)

週刊朝日 2014年10月10日号