最近は泣かなくなった海江田氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
最近は泣かなくなった海江田氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

「全員が一丸となって、自民党の政治に正々堂々と対峙(たいじ)する姿勢を固めなければいけない」

 9月16日、盛岡市で開かれた民主党の両院議員総会。新役員人事を決めた海江田万里代表(65)は、ふっ切れた様子で決意を述べた。

 1年ぶりとなった今回の役員人事では、自身と距離のあった党内「6人衆」のうち、岡田克也元代表(61)を代表代行に、枝野幸男元官房長官(50)を幹事長に取り込むことに成功。挙党態勢を構築したことで、自身への批判も収まると思ったのか、両院総会では終始上機嫌だった。

「夜の懇親会でも笑顔を振りまいていました。批判的だった若手議員にもお酌し、『フェイスブックを見ているよ。地元活動を熱心にやっているね。これからも頑張ろう』と声をかけていた。人事を断行し、完全に自信を取り戻した様子でした」(中堅衆院議員)

 民主党が衆院選に大敗し、野党に転落した一昨年12月から代表を務める海江田氏。これまで大きなピンチが2度あった。はじめは昨年7月の参院選だ。改選44議席が17議席に激減し、細野豪志幹事長(43)は辞任したが、海江田氏は続投を表明したため、党内から「責任を取れ」との批判を浴びた。

 2度目の危機は今年7月。発信力が弱く、なかなか上向かない政党支持率に、党内から「辞任」や「来年9月の代表選の前倒し」を求める声が相次いだ。

 海江田氏は「この1年間、党を割らせなかった。大きな成果だ」と珍回答。一度も応援に行かなかった滋賀県知事選で前民主党衆院議員が勝利したことも自分の手柄にし、続投を決めた。党代表は任期中、辞任しない限り代表を続けられる。

 だが、さすがにこのままではもたないと思ったのか、岡田、枝野両氏を要職に起用。海江田氏の側近は「人事は成功した。代表任期の来年9月までの続投も見えてきた」と言うが、党内の不満は依然としてくすぶる。

 両院総会後、「6人衆」の一人である玄葉光一郎前外相(50)は「代表自身が交代したほうがいい。(今回の人事は)次善の策」とバッサリ。前原誠司元代表(52)も「枝野さんに党の立て直しを頑張ってもらいたい」と冷ややかだった。

 別の中堅議員も言う。

「今の海江田代表の下で団結して、自民党と戦おうという気はサラサラない。いつ解散があるかわからないし、すぐにでも代表を代えたほうがいいと、多くの議員が思っているのではないか。早ければ年末、遅くとも来春の統一地方選後には代表を辞めてもらうよう、引き続き追い込んでいく」

 海江田氏が自画自賛した役員人事も、実は大きな不安を抱えている。海江田氏は早い段階で、政策に明るく、発信力のある枝野氏の幹事長起用を決めていた。だが、岡田氏を要職に据えるつもりはなかったというのだ。

 民主党関係者が内情を明かす。

「岡田さんは7月下旬に代表選の前倒しを繰り返し求めるなど、海江田さんに批判的でした。党代表経験者でプライドも高く、扱いづらい。でも枝野さんが『幹事長は受けます。その代わり岡田さんも登用してほしい。自分ばかりが目立つのはイヤなので』と海江田さんに要望した。そこで仕方なく、国政選挙担当の代表代行となったのです」

週刊朝日  2014年10月3日号より抜粋