賛否両論のドラマ『若者たち』 リベンジポルノで現代の若者を描けた? (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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賛否両論のドラマ『若者たち』 リベンジポルノで現代の若者を描けた?

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週刊朝日#ドラマ

 第4話で、三男の陽(はる)(柄本佑)が座長を務める劇団が上演したのは、つかこうへい作の『飛龍伝』だ。学生運動の華やかなりし頃を描いた作品だが、それを劇中劇として見せるあたり、“自分たちの描く若者は、もはやノスタルジーの対象にすぎない”と宣言しているようにも感じた。

 では、本作は現代の若者を描くことはできなかったのか?

 旭と梓(蒼井優)の結婚と出産を中心に、きょうだいたちの物語が並行して描かれるのだが、もっとも痛々しかったのは、四男の旦(ただし)(野村周平)の話だ。

 旦は、恋人の香澄(橋本愛)のラブホテルで撮影した写真をネットにアップする、いわゆる“リベンジポルノ”を行ってしまうのだが、そこに至る過程が実にひねくれている。

 元々、二人は予備校で知り合ったが、香澄の目的は旦に妊娠したと嘘をついて金をだまし取るためで、写真も香澄が自分で撮影したもの。その後、陽の説得で更生した香澄は陽の劇団に女優として入団し、旦は香澄と改めて付き合うことになるのだが、じつは香澄は陽が好きで、旦に隠れて二人は付き合っていた。それを知った旦は逆上してストーカー行為を行って警察沙汰となり、最後の最後に、香澄の画像をネットに上げてしまう……。

 その結果、香澄は引きこもり、愛想をつかした劇団員も全員辞めてしまう。最終的には香澄が女優として復帰して、陽と旦の3人で劇団を再生させることを予感させて物語は終わるのだが、「誰が悪いのか?」と考えさせられる心理テストのようで、やりきれない話だった。 

 とはいうものの、リベンジポルノを悪人の行為として描くのではなく、一人の少年の恋の苦しみの果ての帰結として描くことで、「理屈じゃねぇ」気持ちが描けたと思う。

 旦がスマホでリベンジポルノを投稿する瞬間、このドラマは間違いなく現代の“若者の痛み”を捕まえることに成功した。もはや、このような切羽詰まったギリギリの場所にしか、若者はいないのかもしれない。

週刊朝日 2014年10月3日号


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