成長するにつれて元気なわんぱく坊主に育った礼宮さまは学習院幼稚園で、テレビではやった「タイガーマスクごっこ」をしてはお友達を泣かせていたというエピソードが残っています。そのたびに美智子さまは我が子のために、ママ友に「ごめんあそばせ」とおわびの電話をおかけになりました。電話を受けたママ友は「こどものことですから……」と恐縮したということです。

 山村医師といえば昭和40年代、日経新書の『痛みの征服 麻酔科医の誕生』がベストセラーとして話題になり、多くの人々やメディア関係者もこぞって読んだものでした。

 東京都中央区日本橋浜町、隅田川の新大橋にほど近いところに山村病院があります。日本の麻酔医学のパイオニア、院長の山村医師は現在94歳。生涯現役の病院長として、ご活躍されています。

 ご出産以降も美智子さまと山村医師のご縁は長く、半世紀以上にわたるお付き合いをされています。美智子さまの治療の折には山村医師はあわせて7回、麻酔を担当なさいました。山村医師は美智子さまのお誕生日会にも招かれ楽しみにされています。その日は、美智子さまが30分ほどピアノを演奏なさってから、部屋を移動してお祝いの会が始まります。

「人が多いもので、なかなかお話は出来ませんが、お元気そうな姿を拝見するだけでも十分です」(山村医師)

 今年の5月、筆者が山村医師の病院に伺いました。書斎に通していただくと、美智子さまと一緒の写真や菊の紋の入った銀杯など思い出の品々がずらり。お付き合いの長さと美智子さまのお心遣いを感じました。

(つづく)

週刊朝日 2014年9月26日号