「9歳のころがカギ」 自分の子どもを「理系」にする方法
もっとも、理系は苦手だという親も多いのでは?
「わからなくても大丈夫。一緒に調べてみようと声をかけ、納得できるまで一緒に調べればいいのです」
子どもと一緒に動物園や水族館、ハイキングに出かけたり、夏休みの自由研究を一緒にやったりするのもいいという。
『わが子を理科系に育てる本』の著書がある精神科医で緑鐵受験指導ゼミナール代表の和田秀樹氏は、
「算数や理科が得意な子は、きちんと答えを求めようとするので我慢強い子になるのは間違いない」
と、「理系脳」に太鼓判を押す。
「カギは、勉強が難しくなる9歳のころ。とにかく褒めて、自信をつけてあげましょう。考えることは苦しいこと、面倒なことではなく、頭を使っていろいろな道筋を想像するゲームなんだと思ってくれれば大成功。親がやるべきことは、自分も考える習慣をつけることです」
だが、和田氏は続けて、こうも指摘する。
「『理系』『文系』と分けて考えることには反対です。今は、新しいことを試してみようという『実験的精神』が役立つ時代。日本人に足りない、アイデアを出す力であり、それがあれば勝てる。文系、理系ではなく、総合的な力をつけることが何より大切です」
前出の小学校の男性教諭も同様の指摘をする。
「理系といっても、資料を読んだり調べたりするときに、文章を読み、理解し、表現する国語力が必要です。偏ることなく、すべての力をバランスよく育てることが大切です」
となると、そもそも「理系」とは、なんなのか。
『サイエンスの発想法』の著書がある京大の上杉志成教授(化学生物学)は、
「理系だけが『サイエンス』ではありません。文系にも『サイエンス』はあります。人と人の関係を考えるなら社会科学だし、文学、経済学、教育学にもサイエンスの要素が多分にある。文系と理系を分けて考えるのは、日本特有の受験制度でしかなく、正しい教育方法ではないと思います。すべての能力は関連していると考えなければいけない」
では、サイエンスとは?
「『人を説得できる力』だと思います。物事を洞察し、論理的に語り、客観的に考えて、問題の解決法を万人に納得させる力です。それは、理科だけやっていてもダメなことは明らかです」
バランスよく多くの経験をさせてあげること。そう考えれば「理系は苦手!」と思っているお父さん、お母さんも、少し気楽に「理系脳」を育ててあげることができそうではありませんか?
※週刊朝日 2014年9月5日号より抜粋