「離婚するなら生活費を全額請求する」 “発達障害”の夫と離婚できない理由 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「離婚するなら生活費を全額請求する」 “発達障害”の夫と離婚できない理由

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 結婚して数年後、夫から「僕はアスペルガー症候群かも」と告白されたが、初めて聞く単語でピンとこなかった。その後、長女の立ち会い出産で違和感を抱く。陣痛でのたうつケイコさんに見向きもせず、胎児の心電図などを映し出す機械に張り付き、その数字を逐一妻に告げ続けたのだ。

「夫にとって、物事を理解し判断する一番の基準は『数字』だったんです」

 相手を慮らず、思ったままを口にする夫の言葉に傷つき、何度も“離婚”が頭をよぎった。だが、夫はケイコさんに「離婚するなら、これまで君に使った生活費などを全額請求するから」と言った。

「私も子どもも自分の『所有物』で、大切なパソコンやお気に入りのバッグと一緒。大事だからお金をかけるけど、手放すときはコストを回収する。夫の中での論理はある意味、一貫しているけれど、私や子どもに『気持ち』があるとわからない」

 夫には悪気がなく、夫なりに人の「感情」を「理屈」として理解しようと努めているとも感じる。だから、自分が腹が立ったり傷ついたりしてもあきらめざるを得ない。今、起業した夫はほとんどの時間を自宅の仕事部屋で過ごし、朝晩の食事でしか顔を合わせない。会話のコミュニケーションが苦手な夫とのやりとりはメールで、同じ家の中にいても一定の距離を置き、前よりつらくなくなった。一方、40代半ばを過ぎた今、夫から解放されたい気持ちも強まっている。

「例えば私が病気になったら、『所有物』である私の行く末は夫がすべてを決めてしまうでしょう。自分の人生を自分で判断できないのは悲しい。でも、離婚や別居は難しいと思う」

週刊朝日  2014年8月29日号より抜粋


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