島田洋七「介護も人生も見返りを求めるとしんどくなる」

 お笑い芸人の島田洋七さんが、13年の親の介護生活を振り返ってこういう。

*  *  *
 がばいばあちゃんに育てられたせいか、昔からお年寄りが好きだった。

 今はもう、俺の親も嫁の親も亡くなったから、家族の中に年上がいなくなってしまった。嫁と一緒にメシを食いに出かけるとき、近所に住んでいるおばあさんを連れていくことがよくある。いわば“レンタル母さん”だ。

 一番よく誘っているのは、土地を売ってくれた家のおばあさんだ。

 きっかけは、佐賀に引っ越してきた朝だ。クルマから荷物を下ろしていると、遠巻きに様子をうかがっている人がいた。

「何を見てはるんですか?」
「ここを売ったモンですけど、ほんまに洋七さんが引っ越してくるんかなと思って」
「引っ越してきましたよ。とりあえず、うちに上がってお茶でも飲みます?」

 そんなふうにして付き合いができて、もう300回以上は一緒に食事に出かけていると思う。その家は農家をやっているから、嫁もそのおばあさんとは仲良くなって、今では本当の親のように慕っている。近所から借りてきたくなるくらい、お年寄りのことが好きだ。

 そんな性格だから、オカンの介護をしているときも、どこか遊びに出かけているような気持ちでいた。

 13年間の介護生活の中で、忘れられない瞬間がある。

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