俳優の城田優さんは「僕は20歳くらいまでハーフということや自分の容姿に、コンプレックスを持っていた」という。作家・林真理子さんとの対談でその理由を明らかにした。

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城田:このお仕事をするにしても、足を引っ張る材料でしかなかったんです。オーディションに行くと監督さんや番組のプロデューサーさんから、「ちょっと異質」「顔が濃すぎる」「背が高すぎる」って言われ続けたんです。なかなか役も決まらなくて、「主役になるか、バスケ部の憧れの先輩みたいな役しか考えられないな」と言われたこともありました。容姿って変えられませんから、それを否定されることが苦しかったですね。13歳から15、16歳のいちばんセンシティブな時期でしたから、傷つきました。だから当時、どこの局で何を言われたか、全部覚えてるんですよ。

林:そういうこと言った人たちに限って、「こうなるのわかってたんだよ」とか言うんじゃない?(笑)

城田:そうですね(笑)。見返してやりたいという思いもあったし、このエンターテインメントの仕事がすごく好きだったので、諦めずにオーディションを受け続けたんです。そしたら自分がやりたいと思ってたことができるようになって。いまは二つの国の文化を知って、両方の長所をもらって心から幸せだなと思っています。

林:大河ドラマ(09年の「天地人」真田幸村役)にもお出になってますよね。

城田:大河に出られるなんて思ってもみなかったので、夢のまた夢がかなったというか、継続は力なりというか。でも、最初にオファーをいただいたときは、僕は一度お断りしたんです。

林:どうしてですか。

城田:満を持して真田幸村が登場するという設定だったんですが、それが僕みたいな洋モノの顔だったら、番組の評価が下がってしまうんじゃないかと思ったんです。大河ドラマの視聴者は年齢層も高めですから、果たして受け入れられるのかという心配もありました。でもプロデューサーの方に、「僕は城田君のその容姿に、真田幸村というカリスマ性や異質な空気を賭けたい」と言っていただき、お受けすることにしたんです。

林:私、城田さんの織田信長(12年のテレビ朝日系のドラマ「濃姫」)も見ましたけど、信長ってこんな感じだったかもしれないなと思いましたよ。

城田:そう言っていただけて、うれしいです。日本でいちばん人気のある武将の役だし、ありがたいなと思いました。

週刊朝日 2014年8月22日号より抜粋