日本への影響はどうか。

 リーマンショックのときは、「サブプライム」と呼ばれる金融商品を金融機関は大量保有していなかったため、影響は当初は限定的だと考えられていた。

 ところが、怒濤のような株安が日本を襲った。カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジストは、当時をこう振り返る。

「日本株に投資していた外国人投資家が、現金化を急いで売り注文を浴びせました。特に銀行株の下落が大きく、銀行は融資を引き締めてしまいました。その結果、大口の顧客である不動産会社にも連鎖的な株安が起きたのです」

 下の表は、リーマンショックの直前と、後に日経平均株価がバブル後の底値を記録した09年3月10日時点の株価を比較したものだ。米国バブル崩壊の影響は、日本の製造業にまでおよぶ。

「08年9月12日に1ドル=107円だったのに、米国の金融緩和で円高ドル安となり、約3カ月後には91円台になりました。株価下落で消費が弱まったところに、円高で輸出も厳しくなった。海の向こうの出来事だと思っていたら、日本は世界経済の荒波にのみ込まれてしまったのです」(河合氏)

 米国でまたバブルが崩壊すれば、アベノミクスで回復した企業業績も悪化し、給料も伸び悩むだろう。それに加えて、当時と違い、消費増税などの税金負担も増えている。無傷でいるのは不可能に近い。

◇リーマンショックで大打撃を受けた日本の株価
銘柄/2008年9月12日終値/2009年3月10日終値/下落率
三菱UFJフィナンシャル・グループ/858円/395円/▼54.0%
三井不動産/2360円/904円/▼61.7%
日立製作所/726円/241円/▼66.8%
トヨタ自動車/4790円/2850円/▼40.5%
新日鉄住金/457円/245円/▼46.4%

日経平均株価/1万2214円/7054円/▼42.2%

リーマンショック直前の08年9月12日と、日経平均のバブル後最安値を記録した09年3月10日の株価を比較(08年9月13~15日は休日のため取引なし)

週刊朝日  2014年8月22日号より抜粋