日本年金機構の本部(東京都杉並区) (c)朝日新聞社 @@写禁
日本年金機構の本部(東京都杉並区) (c)朝日新聞社 @@写禁

 未曽有の高齢社会を生きるには、どの程度の蓄えが必要なのか? 従来の年金制度が立ちゆかなくなるなか、現役世代の多くが、税制メリットが高い「確定拠出年金」に加入し、老後資金を増やそうとし始めている。そんな“自分年金”の時代に、賢いお金のため方を考える。

「『最近、会社で確定拠出年金制度が始まったのですが、どんな商品で運用すればいいのかわからないんです』という相談を、よく受けるようになりました」

 そう語るのはファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏だ。確定拠出年金制度は2001年にスタートして以降、加入者は右肩上がりで増え続けている。14年3月末時点で482.5万人。前年より27万3千人も増えた。

 確定拠出年金(DC)とは、公的年金に上乗せして積み立てられる年金を指す。加入者が増えている理由は二つあるとされる。一つ目は企業が厚生年金基金を廃止して、DCに移行させているから。もう一つは、多くの人が「国民年金と厚生年金だけでは豊かな老後は送れない」と、自力で老後に備え始めたせいだといわれている。

 14年4月以降、私たちが受け取れる厚生年金の額は、標準世帯で月22万6925円。対して総務省の家計調査では、世帯主が60歳以上で勤労者の場合、支出は月平均28万円。その差約5.3万円、働かないと毎月それだけ赤字になる。この数字を65歳で年金生活に入り90歳まで生きる人に当てはめると、総額1590万円も足りない。

 そうした危機感がDCへの加入を後押ししている。深野氏が言う。

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