来年から相続税が「増税」されるのに加え、都市部では地価が上昇している。相続税がかかる宅地が増えるのは間違いない。では、いったいどれぐらいの広さがあると課税されるのか。本誌は3大都市圏の主要198駅周辺の課税「最小宅地面積」をマップにした。家族が集まるお盆に、相続税について話し合うきっかけにしてもらいたい。

 国税庁が7月に公表した2014年分(1月1日時点)の路線価は、東京、愛知、大阪の都市部では6年ぶりにそろって上昇した。特に東京は1.8%と高い伸びだった。

 路線価は、道路に面した土地1平方メートルあたりの評価額で、宅地にかかる相続税を算出する際の目安になるものだ。基本的には「路線価×土地面積」が相続税の評価額となる。つまり、路線価の上昇は、相続税の増加につながる。

 さらに、15年1月から相続税が「増税」される。相続税は、故人が残した財産すべてにかかるわけではなく、基礎控除があって、一定金額までは相続税がかからないようになっている。この控除が増税によって大幅に縮小されるのだ。

 すでに父親が亡くなっている家族で、母親が亡くなり、相続が発生。法定相続人が子ども1人の場合を想定してみよう。

 今年12月までの基礎控除は「5千万円+1千万円×法定相続人の数」だ。この家族の場合は6千万円まで相続税はかからない。

 ところが、相続税が「増税」される来年1月からは「3千万円+600万円×法定相続人の数」になる。基礎控除は3600万円と、実に4割も縮小されるのだ。

 これによって、高額の預貯金がなくても、首都圏に一戸建ての自宅と土地を所有しているだけで、相続税が発生するケースはかなり増えることになる。

 相続税は現金納付が原則だ。相続税が予想されるなら、納税資金の準備が必要になる。まず、路線価や宅地の面積を調べ、「自宅に相続税がかかるか」を把握しておくことが大事だ。

週刊朝日 2014年8月15日号より抜粋