有馬家第16代当主「有馬家を否定した父への反発から水天宮の宮司に」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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有馬家第16代当主「有馬家を否定した父への反発から水天宮の宮司に」

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 神社の社殿前にある鈴に下がっているひものことを「鈴の緒」といいます。水天宮の古くなった鈴の緒をお下がりとしてもらった妊婦さんが腹巻きとして使ったら、ことのほか安産だった。その御利益は評判になったけれども、大名の上屋敷だから入れません。そこで人々は、塀の外からおさい銭を投げ入れた。そんなにご信仰いただけるならと、有馬家は毎月5日、お参りできるように門を開きました。そこでできた言い回しが、「情けありまの水天宮」。「恐れ入谷の鬼子母神」とともに、江戸の2大流行語になりました。

 維新後は、有馬家とともに下屋敷のあった日本橋に引っ越します。僕が宮司になったときの社殿は47年前に建てられたもの。耐震診断をしてもらうと、震度6で倒れるかも、ということでした。建て替えしなきゃねと話していたら、東日本大震災が起こったのです。

 あの夜、無事だった社殿に、泊めてくださいっていう方もずいぶんいらっしゃいました。でも、耐震診断の結果が出ていて、いつまた大きい揺れがくるかわからないものですから、近くの小学校をご案内しました。すごくつらかったですね。だって本来、神社というのは人の心のよりどころとなるべき場所でしょ。

 そんなこともありまして、去年の春から社殿の建て替えをしています。550坪の敷地全体を免震構造にします。こんなとっぴなことをする神社はほかにないでしょう。前例のないことをするのは、やっぱり有馬の血なのかなあ。

 2016年に完成予定です。費用ですか……、数十億円。泣きそうです。でも、今度は何日間でも安心して避難できます。何かあれば飛び込んできてください(笑)。

(構成 本誌・横山 健)

週刊朝日  2014年8月8日号


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