7月17~20日、全英オープンゴルフ選手権(ロイヤル・リバプールGC)が開催され、松山英樹選手9位となった。残念な成績だったが、丸山茂樹氏は松山のショットに「トップ10に入れる内容」と評価する。

*  *  *

 行ってきましたよ! ビートルズのふるさと、英国はリバプールへ。

 もちろん今季の海外メジャー第3戦、全英オープンゴルフ選手権のテレビ解説です。選手として以外でメジャーの会場に行くのは初めての経験でした。なかなか感慨深くて、楽しかったですよ。

 まあ、まずは何といってもロリー・マキロイ(北アイルランド)のメジャー3勝目ですよね。初日から単独首位を守り抜き、通算17アンダーの完全優勝。25歳77日でのメジャー3勝目はジャック・ニクラス、タイガー・ウッズに続く、史上3番目の年少記録ですってね。

 天気がコロコロ変わり、風が吹き荒れるのが全英オープンの日常なんですけど、今回は珍しく穏やかな日が続きました。それもあって、マキロイは自分自身の「パワーゲーム」に徹することができました。

 4日間のドライバーの平均飛距離は全選手中トップの327.8ヤード。もう300ヤードのバンカーなんて関係なかったですもんね。よっぽどのアゲンストが吹かない限り、平気で越えていっちゃうでしょ。もう全英オープンの難しさをまったく受け入れてないんだから、まいっちゃいます。

 最終的に2打差の2位に入ったセルヒオ・ガルシア(スペイン)とリッキー・ファウラー(米)は、マキロイと肩を並べるぐらいのいいゴルフができていたと思いますよ。

 
 さて松山英樹です。通算1アンダーの39位でした。ティーショット、セカンドショットに関してはトップ10に入れる内容だったと思いますよ。いかんせん最終日のバックナイン(後半の9ホール)で3パットが3回ですからね。自分のリズムがつかめないですよね。見てて彼のストレスが伝わってきました。

 別に彼のパッティングが下手だなんて否定するつもりはありません。なぜ調子が悪かったのか、このグリーンに対してどういう調整をしたらよかったのか、これも一つの勉強ですよね。

 パットって各ホールの締めですからね。締めが気分よくいけると、次のティーショットがよかったりとか、何ホールか気持ちよくプレーできたりとかする。ホールとホールを結びつける、すなわちその一日を全部結びつけるものが、パットなんです。ほんとに大事なんですよ。

 僕らはホールに「ボコン」って球が入るのが楽しくてやってるようなもんですから。あんまりショットで大喜びすることはないけど、ものすごいパットを入れたら、「ウォーーーー」って大騒ぎしますから。

 英樹はあと3年でマキロイの年齢になってきます。英樹のこの1年の伸びを見てると、3年あったらどこまでいくんだ、って楽しみになってきますよね。何が足りなかったのかを見つめ直して、次へのステップにしてほしいです。

 現地でメジャーの解説やラウンドリポーターをしてみて、改めて思いました。世界はどんなゴルフをしているのかを目の当たりにして、次世代を担う日本のゴルファーに伝えられるのは、幸せなことだと。

 一方で「あと15年遅く生まれて、この進化した道具で最初からゴルフができてたらな」とも思いましたけどね!

週刊朝日  2014年8月8日号

著者プロフィールを見る
丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

丸山茂樹の記事一覧はこちら