「海外に行く際は、渡航先の最新の感染症情報を入手し必要な予防接種を受けてください。特に東南アジアに行く方には、積極的に麻疹ワクチン接種を勧めます」

 と話すのは、国立国際医療研究センター病院国際感染症センター・トラベルクリニックの忽那賢志医師だ。同院では、渡航予定者に予防接種歴を確認し、渡航先や期間、行動計画に応じて、出発前に必要なワクチン接種の計画を立ててくれる。

「渡航先に応じて予防薬が必要な場合はマラリアなどの予防投薬も行いますし、蚊などの虫さされ対策なども指導します」(忽那医師)

 海外赴任を控えたビジネスマンが会社からの指示で、ワクチン接種計画を相談に来るケースも多いという。

 公的な麻疹・風疹のワクチン接種歴は年齢から推察できるので、確認してみるとよい。

 同院では、受診の際「母子健康手帳を確認できますか」と尋ねられる。母子健康手帳は母親が妊娠したときに配布される手帳で、就学前に接種したワクチンが記録されている唯一の資料だ。

「お母さんが保存していることが多いようですが、ワクチンの記録のページの写真を携帯などで撮って本人が持っておくといいでしょう」(同)

 トラベルクリニックは、旅行に関する専門外来で全国にある。日本渡航医学会のホームページなどで確認できる。

週刊朝日  2014年8月8日号より抜粋