断食月でも快進撃が止まらない 「大砂嵐」の強烈エルボー 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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断食月でも快進撃が止まらない 「大砂嵐」の強烈エルボー

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佐藤祥子週刊朝日
見た目によらず、おちゃめな一面もある大砂嵐 (c)朝日新聞社 

見た目によらず、おちゃめな一面もある大砂嵐 (c)朝日新聞社 

 大相撲名古屋場所で横綱鶴竜、日馬富士を撃破した西前頭3枚目のエジプト出身力士・大砂嵐(22)。横綱初挑戦での2日連続金星は史上初の快挙となったが、加えて大砂嵐が敬虔(けいけん)なイスラム教徒であり、この時期は「ラマダン」という断食生活に入っていたことも話題となった。日没の夜7時半過ぎまで飲食は一切できない過酷な状況のなかでの快挙だった。そんな“大物食い”のヒーローの口癖は、「腹減った……」。熱戦後の頭の中は、食事のことでいっぱいのようだ。

 ある親方は、初土俵からまだ2年半足らずの大砂嵐を、こう分析する。

「徐々に覚えてきたとは思うが、上半身のパワーだけで、まだまだ相撲になってないんだよ(笑)。上位陣は初顔合わせだし、彼の動きが予測不可能で、やりづらかったんだろう」

 殊勲の金星で話題となる一方、まるでプロレス技のエルボーのようにひじを顔面あたりに放つ「かちあげ」には、内外から苦情が殺到した。先の5月場所では、このかちあげで、人気力士の遠藤が一発KOされ、今場所も稀勢の里や照ノ富士など、相手力士から“物言い”がついたほど。師匠の大嶽親方(元大竜)からは「危険なかちあげ禁止令」を発令されたが、公私ともに大砂嵐を指導する相撲協会世話人の友鵬氏は言う。

「やらないと無理、勝てないですよ。もちろん、ちゃんとした技としてね。大砂嵐にはかちあげしか武器がないからな……。でも、今場所はラマダンでフラフラになりながらも、よくやってる。根性はたいしたもの」

 話題の遠藤とは、昨年名古屋場所でともに新十両に昇進したライバル同士でもある。正統派の遠藤に対して、大砂嵐は「荒っぽい技を繰り出す外国人ヒール」役となってしまうのか? いやいや、素顔の大砂嵐はとってもおちゃめ。目が合えばその大きな瞳でウインク、まだまだカタコトな日本語もキュートなのだ。

「1日に5回、コーランを唱えながら(方位磁石で)決まった方角に向かってお祈りするんだけど、来日から2年間、ずっと方角を間違ってタ! 去年やっと気がついたンデスヨ~」
 
 そう言って真っ白な歯を見せ、笑い飛ばす。「カルーシャ」と名付けたロットワイラーの子犬を、今年から飼い始めた。異国での寂しさと稽古のつらさを子犬に慰められつつ、4畳の自室で大好物の「チーズ鱈」をかじりながら、横綱を夢見る──愛すべき、22歳の好青年から目が離せない!

(佐藤祥子)

週刊朝日  2014年8月8日号


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