再稼働が確実となった川内原発 (c)朝日新聞社 @@写禁
再稼働が確実となった川内原発 (c)朝日新聞社 @@写禁

 原発再稼働へ向けて、なりふり構わず突き進む安倍政権。経済産業省、電力会社と一体となった「原子力ムラ」連合にとって、太陽光などの再生可能エネルギーは“邪魔者”に過ぎないようだ。ジャーナリストの桐島瞬の取材で、固定価格買い取り制度(FIT)の見直し論の裏に、「自然エネルギーつぶし」の思惑が浮かび上がってきた──。

 太陽光発電は、二酸化炭素排出を減らすため、09年から余剰電力買い取り制度(12年からFITに移行)の名前で電力会社による購入が行われてきた。当初の買い取り価格は1キロワット時当たり最高48円。現在は最高で37円まで下がったが、太陽光発電が急激に拡大したのはこの制度のおかげだ。

 だが、「さらなる電気料金の値上げにつながる」と経済界から見直しを求める声が上がり、経産省は総量規制の導入などを検討しているという。

「買い取る上限を設け、一定量を超えた場合に自由に価格を決められるようになりそうだが、太陽光発電には特に厳しい制限が設けられる見込みです。枠を超えた部分は価格を大幅に引き下げたり、1年に何度も価格改定できるようにすることも検討される」(経産省関係者)

 だが、今の時点の総量規制は技術革新を鈍らせると、自然エネルギー財団の大林ミカ氏は言う。

「日本の1キロワット時当たりの買い取り価格が高いのは事実ですが、送電設備の整備が進み、運転開始できていない人たちが市場に参入してくれば、コスト低下も促します。事実、ドイツでは、すでに大規模発電の太陽光で13円まで下がっています」

 さらに大林氏は、このタイミングで総量規制の導入論が出ていることについてこう語る。

「初めから落としどころを決めて議論を進めようとしているのではないかと懸念しています。その証拠に、政府の検討委員会では総量規制という議論は出ていないのです」

 前出の環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏も言う。

「毎年の市場規模を安定化させるための総量規制であれば良いが、全体の枠を決めるものであれば許されません。もしそうなら原発の再稼働が前提にあると言えるでしょう。大体、電力会社が送電線を持ち、発電をし、売電もする現状では市場原理が働いていない。そこが価格を決めるとしたらおかしな話です」

(ジャーナリスト・桐島瞬/取材協力:本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2014年8月8日号より抜粋