8月28日に初公判が開かれる歌手のASKA(本名・宮崎重明)被告(56)は現在、千葉県の病院で覚せい剤中毒の治療中だ。知人が近況を語った。

「保釈後、ASKAは家族に土下座せんばかりに謝りました。今は『復帰なんて言える身分じゃない』と語っています。『栩内(とちない)さんに迷惑をかけた』と反省しており、彼女の裁判の行方をとても気にしています」

 一方、一緒に覚せい剤を使用した罪で起訴された栩内香澄美被告(37)の初公判が7月22日、東京地裁で開かれた。

 検察側は栩内被告の尿や毛髪から覚せい剤成分が検出された事実を指摘。これに対して弁護側は、ASKA被告の精液が栩内被告の体内に混入した可能性があると反論した。避妊せずに性交渉していたことを赤裸々に語ることで、真っ向から争う姿勢を示した。

 だが、この主張に対して元東京地検特捜部の若狭勝弁護士はこう話す。

「起訴に相当する濃度の覚せい剤成分が尿から検出された場合、無罪になるケースはほとんどない。ただ今後、ASKA被告が『陰茎に覚せい剤を塗った』などと証言すれば、無罪の可能性もゼロではありません」

「徹底抗戦」の姿勢を示す栩内被告の弁護団は計3名。その内の一人は、過去にハンナン牛肉偽装事件やJR福知山線脱線事故などを担当した“大阪の大物ヤメ検”、黒田修一弁護士だ。

 

「覚せい剤の使用で弁護士を3人もつけるのは、異例です。しかも、大阪から来る弁護士がいるので、費用はより高額になるでしょう。栩内被告ではない人間が弁護団を手配した可能性は、十分に考えられます」(若狭弁護士)

 検察側の冒頭陳述で、栩内被告は2002年ごろ、「勤務先関係者」の出席する食事会でASKA被告と出会ったと明らかにされた。5月の逮捕時にも各メディアで取り沙汰された「勤務先関係者」の計らいで、豪華な弁護団はそろえられたのだろうか。

 25日、フジテレビは「ASKA被告が栩内被告とは別の女性とも覚せい剤を使用していた」と報じた。女性は近く書類送検されるとみられており、その供述次第では、ASKA、栩内両被告の裁判に大きな影響が出るだろう。

「法廷がASKAを巡る泥沼の3角、4角関係の暴露合戦にならなければいいが……」(司法関係者) 

 前出の知人によれば、ASKA被告は時折、曲をイメージしながら歌を口ずさむまで回復したという。

 まだまだ、前途多難だが、しっかりと真実を語ってほしい。

(本誌・今西憲之、福田雄一)

週刊朝日 2014年8月8日号