動物写真家の岩合光昭さんの、日本全国47都道府県のたちを訪ねる旅。今回は、滋賀県沖島の忍者猫です。

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 気配を感じるのに、姿は見当たらない。じっと見ていると、ひょこっと顔を出す。

 かくれんぼでもしているかのように、どこかを窺い、そっと顔を出す。身を隠しているのは猫たちの、「地下鉄」こと排水溝だ。水は流れておらず、猫一匹がようやく通れるほどの広さ。ところどころにあるフタの隙間から顔を出したかと思いきや、「忍法隠れ身の術」とばかりに、姿を消す。生き抜いていくためには警戒心も必要なのだ。目をこらして、道を歩いていると、忍者猫に出会えるかも。

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週刊朝日  2014年7月25日号