言論の自由ない? 藤巻健史がW杯で感じた日本の危険な国民性 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

言論の自由ない? 藤巻健史がW杯で感じた日本の危険な国民性

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 戦争でなかったのが幸いだ。戦争だったら、国民は負けの可能性が高いのに、大本営発表で勝利を信じ、最後まで突き進んでしまったことだろう。第2次世界大戦終戦間近の頃と日本の国民性は変わっていないのではないか? と心配になる。

 私もマーケットで同じような経験をした。20年前にマイナス金利論を主張したとき、「フジマキはおかしくなった」と言われた。インフレ待望論を述べたときや、財政状況に警鐘を鳴らしたときなどは国賊扱いだった。

「円安が必要だ」と主張し始めた当初は「自国通貨が安くなるのを望むとは何事か?」と非難ごうごうだったし、「地価や株価を上昇させ資産効果で景気を良くしよう」と主張したら、「それは金持ち優遇政策で庶民の敵だ」と非難された。日本人は少数意見に厳しい。

 しかし、経済政策の妥当性や、(一時的にはともかく)マーケットの最終的な動きは多数決では決まらない。ファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)で決まる。「多数派の意見だから正しい」わけではない。サッカーの勝敗の予想と同じだ。

「勝負をしている人の予想を聞いてはいけない。ポジショントーク(自分に都合のいい意見)だからだ」ともよく聞く。しかし私は逆だと思っている。勝負をしている人の予想こそ尊重すべきだ。今回のサッカー予想でも私は評論家の予想を真剣には聞かなかった。国賊扱いを避けるために本音をしゃべっていないと思ったからだ。

 ただし、もし彼がイギリスにある合法の賭けで「日本が優勝する」に全財産をつぎ込んでいたのなら、まじめに聞いたと思うのだ。私にとってはいろいろ考えさせられるW杯だった。

週刊朝日  2014年8月1日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい